「ぼくらのネットワーク」(DAOKO × 中田ヤスタカ )と、冬の渋谷

テレビから流れてくる CMソングに耳を奪われたのなんて、一体いつ以来だろう?
CM冒頭の「イエーイエーイエーイエー」という、たったそれだけを聴いた途端、思わず背筋が伸びた。

「なんだこの曲は?」

すぐに調べた。中田ヤスタカだった。なるほどな。


でもさ、そもそも DAOKO の声って耳をひくじゃないですか。今までも CMで「打上花火」とか「もしも僕らが GAME の主役で」とかが流れたら、すごく耳に残ったじゃないですか。でも「ぼくらのネットワーク」には、それとは違う、直接細胞に入り込んでくるような、圧倒的なものを感じたんですよ。これは何なのだろう。

で、これが何なのかは分かんないんだけど、私は「中田ヤスタカ」的なものが思ったより好きなのかもしれない。

中田ヤスタカって、本当のところはよくわからないんだけど、私の中では「センス」なんですよ。世の中の、暗黙のルールとか順序とか「こうあるべき」みたいな何かとか、そういうのをセンスひとつで飛び級しちゃう。だから、たまに、中田ヤスタカって、おぎやはぎの小木さんぽいなって思うんです。センスだけで行っちゃう。(余談なんですが、小木さんが昔タワレコで働いてたって知ってました? 私は最近知りました)

私は、あんまり努力とかに価値を見い出せなくて、「努力して手に入るものだったら別にいらないな〜」などと思ってしまう人間なので、中田ヤスタカの「センスだけで行くぞ」っていう音に反応しちゃうのかもしれない。

あと、たぶんこの曲は、「冒頭の10秒で仕留める」ってもう心に決めて作った感じがするんですよね。なんか、その、「一発で仕留めるぞ」みたいなのも、私はすごく好きなんですよ。だって、一発とか10秒でダメだったら、もう結局ダメじゃないですか。その潔さが、たぶん好きなんです。ダラダラやるのって好きじゃないんですよ。


それから、MV の舞台になっているのが渋谷の街で、なんかそれがすごくこの曲に合っていてよかったのと、ここからは個人的な話になるんですが、私は渋谷がとても好きなので、それもあって興奮したんですよね。

私がよく渋谷に行っていた頃、まだ HMV があって、タワレコに行ってから HMV に行くっていうレコードショップはしごをよくしていたんです。(その後レコファンにも行ったりしてね)インストアライブとかもよく行ったなあ。
それで、この MV で、DAOKO が LOFT のところの坂を降りてきて FOREVER 21 に向かって横断歩道を渡るじゃないですか。この FOREVER 21 がまさに昔 HMV があった場所で、私はタワレコから HMV に行くときに LOFTの前の道を通っていたので、あのときHMVに向かって行っていたときと全く同じ視界なんですよ。

だから、MV 見ていたら、冬の渋谷にすごく行きたくなっちゃいました。MV の DAOKO の衣装だけじゃなくて、ずっと流れている丸みのある電子音も、すごく冬っぽいんですよね。冬の空気そのものみたいな音だなって思いました。


あと、歌詞に「シンフォニー」「BPM」「奏で」「音色」という、音楽に関する言葉をけっこう入れてきているんですよね。「音楽で繋がろう」みたいな寒いことは絶対言わないで、歩く足音とか街のざわめきとか、そういうのが集まって、いつの間にか音楽になって、最終的にみんなで踊っているみたいなのが、本当にいいなって思いました。



DAOKO × 中田ヤスタカ「ぼくらのネットワーク」MUSIC VIDEO