2026年4月30日

4月に聴いていた音楽です。

□「One Thing At A Time」Coutney Barnett
□「Ember」Iceage
□「Going Shopping」The Strokes
□「Golden」DIGITALISM
□「Bird's-Eye View」Lozenge
□「Angry Hearts」IRIKO


コーチェラのYouTube配信、いっぱい良かったライブあったけど、結局、ストロークスがすべてだった。ジュリアンはすっかりおじさんになっていたけど、それ以外は何も変わっていなかった。「ジャスティンビーバーのオープニングアクトのストロークスです」っていうのも、ああジュリアンだなあって思った。そういうところ好きなんですよ。
全部好きな曲ばかりだけど、『Juicebox』をやったのが何よりうれしかった。『Juicebox』異常に好きなんですよ。ストロークスって、クールであることと隙間があることが魅力だと思うけど、この曲はそこを覆してくるところが好きで、普段の青い炎が別の色に変わっていく感じがするというか、ジュリアンも他の曲とは違う何かを引きずり出してくる感じがたまらなくて、本当に好きだ。めっちゃかっこよかったよ。
1週目と2週目でセットリストをかなり変えてきたことにも驚いた。
ジュリアンは1週目は謎Tシャツで、2週目はレザーのロングコート。
どっちもよかったけど2週目が特にとんでもなくやばかった。ジュリアンの声が高音も低音も凄かったし、あの唸るような響きに強烈に惹きつけられた。そして何より最後の『Oblivius』。ジュリアンのこういうところが本当に好きなんですよ。信用できる。< What side are you standing on ? > って、ほんまやで。世界で一番クールなバンドがコーチェラでこれをやるということ。本当に最高にクールで、最高にかっこいいバンドだ。ラプソディ・イン・ブルーをバックにステージからはけるところまですべてが最高だった。あ〜、かっこよかったよ〜〜〜。巻き戻して何回も見てしまった。
Fatboy Slim もめっちゃよかった。フェスはこれだよね〜。これが楽しいんですよ。Mr.Brightside(The Killers)+ Born Slippy(Underworld)、NIRVANA、Aphex Twin、 Prodigy、radiohead、etc。永遠にこんな時間が続けばいいのにね。Jack White もよかったし(The Raconteurs の曲もやった!)、イギーポップ(78歳)凄かったし、Turnstile はライブ行ってみたいなと思った。

あと、IRIKOの新譜めっちゃよかった。『夢のかけら』が音源化されて本当にうれしい。

Dreams Never End vol.7

ART-SCHOOL TRIBUTE LIVE 「 Dreams Never End vol.7 」
2026年4月3日(金) in Zepp Haneda
出演 ART-SCHOOL MO'SOME TONEBENDER syrup16g


ART-SCHOOL の結成25周年を記念して2025年8月にリリースされたトリビュートアルバム『 Dreams Never End 』。このアルバムに参加したバンドがART-SCHOOL と対バンしていくトリビュートライブの第7回目が、2026年4月3日に Zepp Haneda で開催された。

syrup16g、ART-SCHOOL、MO'SOME TONEBENDER のスリーマン。
私にとって、これほど特別なスリーマンは他にない。
時は遡り2003年、私はこの3バンドに夢中だった。
そんなとき、ロッキングオンが「JAPAN CIRCUIT」というイベントでとんでもない対バンを実現させた。 2003年6月15日、新宿リキッドルーム、出演はsyrup16g と ART-SCHOOL と レミオロメン。それだけでも歓喜だったけど、なんと追加でモーサムの出演も発表された。これはやばすぎた。

その後、それぞれのバンドにそれぞれいろんなことがあった。
そして2026年、ART-SCHOOL のトリビュートライブという形で、再びこの3バンドが集結した。すごい。やばい。奇跡。どうしよう。うれしい。


トップバッターは MO'SOME TONEBENDER だった。
ああ、かっこいい。なんてかっこいいんだ。
驚くべきことに、23年前の2003年と変わらないかっこよさだ。
あの日の怖いくらいのかっこよさ、ヒリヒリした吹き飛ばされそうな空気、百々の髪の隙間から光る眼。それが今もすぐそこに、目の前にあった。
昨年のツアーでもやってくれた『アンハッピー・ニューエイジ』は 2004年リリースの曲でまさに「あの頃」の曲なわけだけど、まるで「今」の曲みたいだなあと思いながら拳を上げていた。
武井の「わっしょいするか、超わっしょいするか」という二択にもちろん超わっしょいするを選択して『ロッキンルーラ』。
そして 2004年の超名盤『 The Stories of Adventure 』から『 GREEN & GOLD 』。圧倒的な音の波に恍惚としてしまう。なんてバンドだ。
それからいよいよART-SCOOL のカバーである『あと10秒で』。音源で聴くよりももっと力強くてロックで包み込まれるような『あと10秒で』になっていてすごくよかった。アートでドラムを叩いている勇が、アートの『あと10秒で』をモーサムの一員としてギターを弾いているのがおもしろくもあり、不思議でもあり、かっこよくもあった。
そんな『あと10秒で』でめちゃくちゃに盛り上がり笑いまくったあとの、最後の『 echo 』は洒落にならないくらいやばすぎた。呆然と立ち尽くしてしまい、ただステージを見つめることしかできなかった。2003年のあの日にモーサムに心を撃ち抜かれてしまったときと同じだった。私はすごいバンドに出会うことができた。またそう思った。
最近はモーサムのライブはクアトロで見ることが多かったので、Zeppというでかいステージでモーサムを見れたことも、とてもうれしかった。
あと、武井が「アートとシロップとやるの、なんかうれしいね。またやりましょう」みたいなことを言ったのがうれしかった。またやってほしい、本当に。お願いします。


二番手は syrup16g。
『 光のような 』『 Star Slave 』『 赤いカラス 』と、アルバム『 delaidback 』から3曲演奏。確かにこれは意外な選曲。どっしりした演奏で一気にシロップワールドに引き込まれていく。さすがだ。特に『 Star Slave 』がよかったなあ。
五十嵐が「モーサムかっこよかったねえ」としみじみ言ったのが、なんか今日五十嵐とモーサムのかっこよさを共有できたんだなあって思ってうれしかった。あと五十嵐ってそんなにモーサムを好きだったんだなあって、それもちょっと意外でうれしかった。その後、「個人的に(モーサムが)見たいっていうだけで来たんだけど、アートスクールのために最後まで頑張る!」ってガッツポーズしながら言ってた。
そして ART-SCHOOL のカバー『 EVIL 』。えぐいほどかっこいい演奏だった。2003年4月にリリースされたこの曲の、切迫していてささくれだっていてどうしようもなくて刹那でしかない、木下理樹とアートスクールのすべてが、シロップの演奏と五十嵐隆の声によって増幅されていくのが不思議であり、同時にあの頃のオルタナの勝利のようにも思えた。それほど爽快で、オルタナ・グランジのかっこよさに溢れた演奏だった。もう私はそれだけで満たされた。『 EVIL 』が終わったあと、五十嵐が「天才!」と言った。考えうる限りこの世で最高の、木下理樹とアートスクールに対する賛辞だった。
その後、新曲もやり(さすがシロップだよ)、『 明日を落としても 』と『 My Song 』。 そういえば『 My Song 』も 2003年の曲だ。最近のシロップはしっとりした曲もリズム隊のすごさで迫力を携えて音が伝わってくるので、よりぐっときてしまう。あの頃のよさもあるけど、今のシロップがすごく好きだなと思ったライブだった。


ラストは ART-SCHOOL。
『ロリータキルズミー』で始まったライブはジェットコースターのようで、私はずっと踊っていた。
だが、『 LILY 』が来たとき、思わず立ち止まってしまった。やはり 2003年にリリースされた『 SWAN SONG 』の1曲目のこの曲には、今でも私の一部が静かに息をしていた。誰にも言えない、自分の一番中心にある気持ち。それを目の当たりにしてしまった。同じく『 SWAN SONG 』からの『 LOVERS 』、そこからの『 MISS WORLD 』でもうだめだった。
ART-SCHOOL ってなんて不思議なバンドなんだろうと改めて思った。
そのメロディーやバンドサウンドが好きであることは間違いないが、それがすべてだというわけでもなくて、共感しているわけでもなくて、ただ確実に自分の一部がそこで息をしている。
ライブで繰り出される曲に、一曲一曲、ああこの曲もそうだ、この曲にも自分がいる、あるいは自分がいた、と思い知らされながら、本当に稀有なバンドだと思い、本当に変な23年だった、と思った。
アンコールでシロップとモーサムがカバーした『 EVIL 』と『 あと10秒で』を見ていると、あの頃は勇がアートスクールで叩くなんて想像もしていなかったなと思った。でも勇がドラムを叩いている今のアートスクールは、他のどのバンドにも真似できない独自の音をフロアに放つ、特別なバンドになったと思う。2003年のヒリヒリしたアートスクールはもういないけど、みんなでつくりあげた今の特別なアートスクールの音がそこにあった。それも素晴らしいことだと思った。バンドを続けるって本当に大変なことだから。


最後には、ART-SCHOOL への感謝で溢れていた。
ART-SCHOOL がバンドを続け、そしてこの日に syrup16g と MO'SOME TONEBENDER を招いてこのイベントを開催してくれたことに、本当に感謝しています。ありがとう、ありがとう、ありがとう。
そしてそれは、木下理樹だけじゃなくて、2003年に ART-SCHOOL とsyrup16g と MO'SOME TONEBENDER をフロアで見ていたトディーの、その後の努力の賜物なんだと思う。本当にありがとう。

それから、この3バンドはやっぱり自分にとって本当に特別なバンドで、本当に色々な場面で助けてもらってきたなあと、そのかけがえのなさに改めて気づいた。出会えたことも奇跡だと思うし、ずっと新譜をリアルタイムで聴けたりライブに行ったりできることも奇跡だと思った。ずっとかっこよくいてくれてありがとう。夢を終わらせないでくれてありがとう。これからもそれぞれの夢が続きますように。


P.S. この日、開演前や転換時には radiohead の『 OK Computer 』が流れていた。それを聴いていると、2000年代初頭の日本のバンドは多かれ少なかれこのアルバムに影響を受けていたなあと改めて感じた。レミオロメンの「レ」もレディオヘッドの「レ」だもんなあ。



ボロボロの2003年JAPAN CIRCUITのTシャツ。とっておくものですね。

2026年3月31日

3月に聴いていた音楽です。

□「Star」Iceage
□「Riptides」Death Cab for Cutie
□「Trying Times」James Blake
□「For Lack of Trying」Lozenge
□「Space Invaders」DIGITALISM
□「Barcelona」Color Palette


the north end の8年ぶりのライブに行きたいと思っていたのだが、チケットがソールドアウトしてしまい行けなかった。
最近は新聞を読みまくっている。新聞、とてもいいです。クソリプがないので。

syrup16g 30th Anniversary " Closer / Further "

syrup16g 結成30周年記念公演
「syrup16g 30th Anniversary " Closer / Further "」in NHKホール


1日目 2026年3月13日(金) 「 Closer 」

1. きこえるかい
2. Sonic Disorder
3. 無効の日
4. 末期症状
5. HELPLESS
6. 月になって
7. I.N.M
8. Dinosaur
9. 吐く血
10. ( I'm not ) by you
11. 新曲
12. 新曲
13. 新曲
14. coup d'Etat
15. 空をなくす
16. Drawn the light

En1
17. 生きているよりマシさ
18. 落堕
19. 真空

En2
20. 正常
21. Les Misé blue


3月の東京は寒い。渋谷の空は白く、どこまでも曇りだった。
NHKホールに来たのは、2015年の「Kranke」ツアー以来で、あれからもう11年も経ったということがうまく理解できない。それよりさらに前の 2007年の「End Roll」と 2013年の「生還」の記憶も蘇る。

1日目は2階席だった。
19時、『virgin suicide』が流れる中、1996年のバンド結成から今日までのシロップの歩みがビジョンに映し出される。いろんなことがあったなあ、と感慨に耽る。最後に最新のアー写が映る。かっこいい。

五十嵐がギターを弾く音が聞こえる。『きこえるかい』だ。
この最初の『きこえるかい』で、なぜかもう涙が出てきてしまった。それは武道館での『きこえるかい』や、解散を発表したNHKホールでの『きこえるかい』が頭をよぎったからでもあるが、それ以上に、五十嵐が今の五十嵐自身や今の私たちに向けて呼びかけているように感じたからだ。曖昧でぼやけた自分の現在地が、五十嵐の声とシロップの演奏とこの曲によって、何らかの形を与えられたような感じがした。
また、2007年、2008年には遠くに行ってしまうと感じていた曲が、今日はこんなにも近くにあるという事実に、涙が出たのかもしれない。

2曲目は『Sonic Disorder』。「生還」でも『Sonic Disorder』が2曲目だったことを思い出す。この曲で紗幕が上がったときに、中畑さんとキタダさんがステージにいることがわかったのだ。いま当たり前のようにこの2人がいつもステージにいるのは、本当は奇跡なんだよなあと思う。イントロのジャムっている感じが、落ち着きの中に躍動があってかっこよかった。最後に足を蹴り上げた五十嵐もかっこよかった。

『無効の日』は、後半のベースとドラムがかっこよかった。そこに乗る五十嵐の声もめちゃくちゃいい。続く『末期症状』も半端ないかっこよさだった。叫ぶ五十嵐、声が伸びまくる五十嵐、キタダさんの動きまくるベース、中畑さんの高速ドラム。

五十嵐が、「五十嵐と、中畑と、マキさん」とメンバー紹介して「曲振りしたんだけどね」と言ったので『 I.N.M 』をやるのかと思ったら(五十嵐=I、中畑=N、マキさん=M)、曲順を間違えていたみたいで、「気にしません」と言って『月になって』(「気にしてないから」で始まる)が演奏された。
で、その次が『 I.N.M 』だった。
この日の公演には「Closer」というタイトルがついていたが、セットリストを振り返ってみると、確かに「半径5m以内」を感じる曲が多かったと思う。だが、その中でも『 I.N.M 』は「近い」というかもはやゼロ距離だなと思った。I.N.M = I need to be myself、OASIS の『Supersonic』にも「 I need to be myself」という歌詞があるが、「自分」という一番近い、ゼロ距離のものと向き合ったこの曲の褪せることのない凄まじさに気づかされる。
< 俺は俺でいるためにただ戦っている精一杯 >、それが今どれだけ大切なことかを痛感する。それは絶対に手放してはいけないものだ。それから、< 無視しきれないとまどいに転がされてけよもう一生 >で拳を上げた五十嵐に気持ちを持っていかれた。歌い方にも熱が入っていて、思わず胸を打たれてしまった。

『(I’m not) by you』は、美しすぎるバンドアンサンブルで、言葉にならない果てしなさを感じた。
新曲を3曲もやったのも嬉しかった。シロップが現在進行形で曲をつくり、それをライブで演奏しているということ、それは未来があるっていうことだからだ。

そして『coup d'Etat』のイントロが鳴り、ステージのバックに「syrup16g」のロゴが映し出される。めちゃくちゃかっこいい演出だ。五十嵐が「3回目、30年目。行くよ。」と言った。声が聞こえたら五十嵐の声だ。ああ、大好きだ、シロップが。どうしようもないくらい、大好きだ。
この『coup d'Etat』~『空をなくす』こそが「syrup16g」だよな、と思う。この「空をなくす」という距離感覚こそが syrup16g だ。その演奏は、ちょっと頭がおかしくなってしまうくらいかっこよくて、私は心の底から笑顔になった。シロップは本当にかっこいいロックバンドだ。
そこから『Drawn the light』のイントロでジャムっているのも良すぎて、ずっと興奮していた。ギターの音がかっこよすぎた。

アンコールの1曲目は『生きているよりマシさ』。再始動の曲であり、シロップ復活の曲だ。それが30周年の今日演奏されているのを聞いていると、あのときもう一度表舞台に立つことを決めた五十嵐の気持ちを考えてしまった。その前にどれだけの苦悩があったのだろうかということも。もう一度 syrup16g が始まるという奇跡の裏にあった、それを決めた中畑さんとキタダさんの気持ちも。そういうこともあって中畑さんのコーラスになんかすごく胸を打たれた。シロップをやり直せた五十嵐は本当にすごいし、復活後の方がバンドとしてどんどんかっこよくなっているシロップは本当にすごい。これは本当に凄すぎることなんだって改めて思う。

『落堕』では五十嵐がハンドマイクで歌ったり、モニターに座って歌ったりしていて、ロックスターだった。ホールでもこんなに興奮させてくれるなんて、すごい曲だしすごい演奏だ。
『真空』の始まりのギターとドラムの応酬も良すぎたし、中畑さんの「ロックンロール」でまたぶち上がり、何もかもが最高だった。

2回目のアンコールは『正常』。圧巻。やばすぎる。こんなすごいバンドに出会えて本当によかったなあ。
最後は『 Les Misé blue 』。とても暖かい空間だった。私もシロップの仲間になれているのだろうか。わからないけど、その空間が穏やかで暖かくて居心地のいい空間であることだけは確かだった。そんな素晴らしい空間に、syrup16g が30年目に辿り着いたことが、嬉しくてたまらなかった。



2日目 2026年3月14日(土) 「 Further」

1. Reborn
2. 明かりを灯せ
3. Don't Think Twice ( It's not over )
4. 生活
5. 神のカルマ
6. 遊体離脱
7. Hell-see
8. 変態
9. 天才
10. 希望
11. 新曲
12. 新曲
13. 新曲
14. 宇宙遊泳
15. リアル

En1
16. タクシードライバー・ブラインドネス
17. パープルムカデ
18. ex.人間

En2
19. She was beautiful
20. Thank you
21. 翌日


2日目は1階席だった。
インスト曲(多分2005年頃のCDJで演奏された曲)が流れる中、結成からの歩みがビジョンに映し出されるが、昨日とは映像が少し異なる。武道館の映像がわりと多めだった気がする。『再発』で五十嵐と中畑さんがお客さんを覗いているバックショット、そういえばあったなあ。あの写真好きだった。

いきなり『Reborn』で始まる。武道館の最後の曲であり、生還の最初の曲だ。解散からも生還からもずいぶん遠くへ来たものだなあと思う。貫禄を感じさせる『Reborn』から『明かりを灯せ』への流れがとても綺麗で見惚れてしまった。身体の中がやわらかい明かりで満たされていくようだった。

五十嵐が「おい!」と叫んで始まった『生活』では、会場が一気に波打つ感じがあった。曲が持つ求心力の強さに改めて驚かされる。また、2日目の公演タイトルは「Further」だったが、『生活』は確かに「遠さ」を感じる曲だとも思った。手が届きそうで、ずっと届かない。どうしても届かない。

この日は他にも「Further」というテーマを感じさせる曲が多かったように思う。特に『遊体離脱』『宇宙遊泳』『リアル』では、圧倒的な遠さや、音に遠くまでぶっ飛ばさる感覚や、宇宙を見せられているような感覚があった。
また、『神のカルマ』『Hell-see』『パープルムカデ』『ex.人間』をやった意味にも思いを馳せた。あの頃は遠くであったことが、今はすぐ近くにまで迫っている。『Hell-see』の音の凄まじさが、その遠近感を表しているかのようだった。

それから、この日も新曲を3曲もやったのだが、どの曲も好きな感じですごくよかった。シロップにしかないコード進行や雰囲気を持った曲ばかりで、これから先がまた楽しみになった。

そして2日目は『宇宙遊泳』でステージのバックに「syrup16g」のロゴが出現。宇宙空間にバラバラに散らばる個が、syrup16gで繋ぎ止められている感じがして、なぜか壮大な安心感がもたらされた。

本編最後の『リアル』の全てを絞り出すかのような五十嵐とバンドの姿も本当にかっこよかった。そこに命があって生きている、その重みと確かさを感じた。(この日のライブでは特に『天才』と『リアル』の演奏が凄かったなあと思う。『天才』かっこよすぎて震えたよ。ギターソロかっこよかったなあ。)

アンコールで出てきたキタダさんが着ていた漢字Tシャツは、五十嵐が間違えて書いた字がテープで修正されていた(笑)「間違った知識をね、直さないと」というキタダさんに「次は間違えないから~、ごめん」と言う五十嵐。あ、「次」があるんだ、っていうことがうれしくて安心した。
そこからの『タクシードライバー・ブラインドネス』もめっちゃよかった。大好きな曲だ。Tシャツにパーカーを着てSGを弾きながら『タクシードライバー・ブラインドネス』や『パープルムカデ』を歌う五十嵐を見ていると、一瞬2003年や2004年かのように思えてクラクラした。あの頃の曲がずっと自分の中にいて、ずっと大切なままだ。

それから五十嵐の提案で『ex.人間』の<あーあ>をコール&レスポンスした。これは初めての試み。< これは僕の作品です/愛すべく作品です > の歌い方がかっこよくてグッときた。両手で3本指を立てて「さんじゅう」って言いながらハケた五十嵐が楽しそうで、よかったなあって思う。

2回目のアンコールは『She was beautiful』。あまりの美しさに息をのむ。それはあの頃から遠く離れたからこその美しさなのかもしれない。
そのあとは『Thank you』が来て、びっくりしたけどうれしかった。これもめちゃくちゃ好きな曲だから。バンドやってたらずっと青春だよなあと思ったし、五十嵐はずっと何も諦めちゃいないんだということがわかって、また涙が溢れてきた。五十嵐がマイクを通さずに「ありがとう!」と叫んで、私はもう涙が止まらなくなってしまい、そこから『翌日』のイントロが鳴って、もうずっと泣き続けていた。
そして、ぼんやりと『翌日』って一番「遠い」ものかもしれない、と思った。来るかどうかわからないからだ。そんな果てしない「翌日」を積み重ねて、シロップは今日この場所に辿り着いたのだ。
キタダさんが五十嵐を見ながらベースを弾いていることも、中畑さんが笑っていることも、最後に五十嵐が中畑さんの方を向いてギターをかき鳴らしていることも、あの頃から見たらそのすべてが来るかどうかわからなかった『翌日』だった。<ふがいないまま僕が> で胸のあたりを掻きむしったり胸を拳で叩いたりした五十嵐が <形に起こせないすベて> を歌わずにちょっと笑っているように見えた瞬間、もうなんかすべてが報われたような気さえした。


「Closer / Further」と銘打たれた2日間を振り返ってみれば、近いはずのものが遠く、遠いはずのものが近かった。半径5m以内の世界にあるはずのものがどうしても手が届かないほど遠かったり、心理的な距離はとても遠かったりすること。遠いはずの果てしない宇宙になぜか手が触れてしまうこと。また、時間の経過によって、あのころ遠かったものが近くなり、あのころ近かったものが遠くなったこと。そういった一筋縄ではいかない、この30年の様々な視点からの「遠近感」を感じさせられるライブだった。

そして、30周年のシロップは実に瑞々しかった。ギターの音がフレッシュで豊かで、バンドサウンド全体も水を含んでいるかのような潤いとしなやかさがあった。また、あの頃と変わったところもあるし、変わらないところもあるが、その中で改めて実感したのは、凄まじい曲と歌詞だということだ。それが立て続けに演奏されるのを聴いていると、この30年は五十嵐隆が、syrup16gがもがき続けた30年なのだということを再確認させられた。
近くで、遠くで、闘い続けた30年。そのすべての一瞬一瞬のかけがえのなさを突きつけられて、何度も涙が溢れたし、そのすべての一瞬一瞬に全力で拍手を送った。それは、私にとっても一言では表せない、愛しさも絶望も虚しさも救いもないまぜになった、シロップと共にあった時間だった。
あの頃と変わらない Badcat のアンプの光が涙で滲んで見えた。

『きこえるかい』も『正常』も『翌日』も、そこで終わるためじゃなくて、次に続いていくために鳴っていた。そして新曲を6曲もやった。五十嵐は今も何も諦めていない。それが伝わってきた。
私はそれを見て、五十嵐が、シロップが、明日を諦めないのなら、これからも続いていくのなら、どんな現実でも諦めちゃいけないなと思った。日に日に世界が悪くなるけど、諦めちゃいけないんだ、だって五十嵐が諦めてないんだから。理由なんてそれだけでいい。そういうものをたくさん受け取った2日間だった。

P.S. 「みんな綺麗やで」と言って写真を撮った中畑さん、あなたが一番綺麗やで。

MY BEST ALBUMS OF 2025

今年の10枚です。順不同です。

「Essex, Drugs and Rock and Roll」Bilk

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「Bout Foreverness」NOT WONK

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「団地テーゼ」神聖かまってちゃん

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「Welcome to My Blue Sky」Momma

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「SABLE, fABLE」Bon Iver

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「NEVER ENOUGH」Turnstile

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「WE WERE JUST HERE」Just Mustard

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「2」Foxwarren, Andy Shauf, Darryl Kissick

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IdlewildIdlewild

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「RAYDIANCE」Hue's

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「何も期待しちゃいけない」
本当にそういう年だった。ここ2ヶ月くらいは特に。