2024年11月30日

11月に聴いていた音楽です。

□「Songs Of A Lost World」THE CURE
□「Summer Days」Bilk
□「Chance」Hedigan's
□「きいていて」川本真琴, の子, スカート
□「ただようだけ(Side A)」「ただようだけ(Side B)」田中ヤコブ
□「WILD BUNNY BLUES / 野うさぎのブルース」a flood of circle
□「未来」Zamboa

syrup16g @ 日比谷野外音楽堂 (2024年11月2日)

syrup16g日比谷野外音楽堂
2024年11月2日(土) start 17:30

setlist
1. クロール
2. 前頭葉
3. Heaven
4.もういいって
5. 翌日
6. 生活
7. 真空
8. Breezing
9. エビセン
10. 明日を落としても
11. 赤いカラス
12. I Hate Music
13. In My Hurts Again
14. 変拍子
15. 光なき窓

En-1
16. Sonic Disorder
17. 神のカルマ
18. 落堕
19. coup d'Etat
20. 空をなくす

En-2
21. Reborn


11月2日(土)、15時の時点では雨はまだ降っていなかった。
だが、予報通り、16時頃から雨は降りはじめ、入場を待つ頃にはかなり降ってきた。

立見だったので開演直前の入場で、紙チケットはびしょ濡れになった。
ステージは遠かったが、人と人の隙間からなんとか見える位置だった。

土砂降りの中、『クロール』でライブが始まる。2004年の野音もこの曲で始まったなあと思う。この時点で体感的にはかなり雨がきつくて、どうなってしまうんだろうと少し不安になった。

だが、2曲目『前頭葉』でなんかもう全てが吹っ飛んだ。イントロのかっこよさと「あせるな/そこで突っ立ってりゃいい」という歌詞に笑ってしまう。確かに今日はここで突っ立ってるしかない(笑)踊ることも腕を上げることもできないが突っ立ってることはなんとかできる(笑)
もう完全にエンジンがかかって『Heaven』で加速していくバンドアンサンブル。そして『もういいって』で2004年のリアルが野音に再び蘇った。あの時代の世界、使い捨てにされること、諦め、無力感、投げやりで生きる毎日。それが雨と照明でぼやける視界にぼんやりと浮かんでいた。

かと思えば次は視界をガラッと変える『翌日』。これは晴れてたら最高だったのかもしれないけど、雨でもなんでも今日ここに来れたのが「奇跡」なんだよなと思う。今回本当にチケットが全然とれなくて、先行3回とも取れず、一般も10時ちょうどにぴあにアクセスできたのに取れず、直前に立見券とカメラ席券が発売されたがこれも19時ちょうどにアクセスできたのに取れず。
ここまでファンがチケットとれないのってなんか変だなとイライラしていた。諦めきれずその後もぴあをチェックしていたら、数日後の昼になんと立見券が復活していてそこで買えたからよかったんだけど。だからこの日は雨の中、奇跡を噛み締めながら『翌日』を聴いた。

そこからなんと『生活』。『翌日』からの『生活』はやばすぎる。
< 生活はできそう?> を野音で聴くと、物価も高いし消費税も高いし、、、と隣の建物に向かって思ったりしちゃいますが。

そしてその勢いのまま『真空』。ぶち上がる。もう雨でもなんでも来い。中畑さんの「ロックンロール!」で冷えてた体も体温を取り戻したぜ。

続く『Breezing』『エビセン』では照明も相まって夢を見ているようだったが、それを切り裂くように『明日を落としても』。この曲のすごいところは
< そう言ってうまくすり抜けて/そう言ってうまくごまかして/そう言って楽になれる事/そう言っていつの間にか気付いていた > というフレーズで客観性と俯瞰をぶち込んでくるところだと思うが、この日この曲がこの場所で演奏されるのを聴いていると、その客観性と俯瞰が五十嵐を、私たちを、アレから遅らせてきてくれたのだと思った。遅らせてきたからこの日があって、五十嵐がいて、syrup16g がいて、レインコートを羽織った私たちがいる。最後の問いかけにもう Yes とも No とも答えられないが、それでいいのかもしれない。

五十嵐が「『つらいことばかりで』って、こっちの方がつらいよって感じだよね、ごめんね。」って言って、笑ってしまった。確かに〜。
あとどこだったか忘れたけど、客席を見て「野戦病院みたい、、、」って言ってた(笑)確かに〜。

驚いたのは『赤いカラス』をやったこと。これはなんか予想外だった。でもめちゃくちゃよかった。この曲は単純に名曲だと思う。あと、解散前と解散後と再始動後のいろいろが頭の中を駆け巡った。

バンドアンサンブルのかっこよさが際立っていたのは『 I Hate Music 』だった。軽快さと3ピースのよさが詰まっていて、こんなにすごい曲だったんだ、と曲に出会い直した感じだった。

ここから『 In My Hurts Again 』『変拍子』と重めのテンション。でも、この選曲をしたのすごいと思う。この重さを見せつけてこそ、syrup16g の雨の野音が完成すると言ってもいいと思う。この抜き差しならないものを交換し合うところが、syrup16g が唯一無二たる所以だからだ。確かこの辺りで雷が光り出してビビっていたのだが、今考えるとまるで演出のようだ。

そして本編ラストは『光なき窓』。これも予想外だったが、めちゃくちゃ嬉しかった。なぜならシロップの曲の中でもめちゃくちゃ好きな曲だから。最後、客席の方からの白いライトが光って、「光なき窓」から光が溢れてきて、もちろん syrup16g は光で溢れていて、その矛盾が愛しくて胸がいっぱいになった。五十嵐のシャウトとアウトロが美しくて、心の中まで光で満たされた。

アンコールはキタダさんが出てきて『Sonic Disorder』のイントロを弾く。かっこよすぎる。中畑さんが出てきて手拍子を煽る。最後に手拍子をしながら出てきた五十嵐もノリにのっていた。やっぱりこのバンドは、ギターロックバンドとして最高峰だと思う。3人の音の絡み方がかっこよすぎる。

『落堕』では五十嵐がハンドマイクでちょっと前まで出てきてしゃがんで歌っていた。かっこよかった。そういえば、解散前にも『落堕』でハンドマイクしてたことあったな、と思い出す。< 寝不足だって言ってんの!> は客席にマイクを向けた。みんなで叫んだ。それにしても < 明日また熱出そう > はなんというリアル。これだけ雨に濡れたら、明日熱出す人本当にいると思う。

アンコールの最後は『 coup d'Etat 』〜『空をなくす』。野外で『空をなくす』は最高だよ。< 今は飛べるよ > を < 今ーーーーーーーーーー!> って歌ってたのがめちゃくちゃかっこよかった。ハウってるギターに乗せて歌ってるのもかっこよかった。< この空をなくすまで > っていうのが、いつまでも音楽をやるっていう風に聴こえて、なんかよかった。

雨もすっかり弱まってきた中、ダブルアンコール『Reborn』でライブは幕を閉じた。最後は3人が前に出てきてたくさん手を振ってくれた。

はじまる前はどうなることかと思ったけど、なんとかなってほんとによかった。ステージが遠かったからメンバーの表情とかはわからなかったが、五十嵐のギターの弾き方がなんかめちゃくちゃかっこよかった。雨で余計に気合が入ったのかもしれない。あと、レインジャケットのフードをかぶっていたことで視界が狭くなり、よりバンドと自分の一対一の感覚が強まり、結果的にいつもよりライブに没入することができた。お馴染みの中畑さんの「よく来たね」もこの日はより気持ちが深く入ってるように感じた(笑)中畑さん「ライブの間だけ雨降るんだって。こんなバンドを見に来たばっかりに、、、」って言ってたけど、見に行って本当によかったよ。めちゃくちゃいいライブでした。

五十嵐が「野音でライブやれてよかった。みんなも生きててよかった」「来年も会いましょう」って言った。私も五十嵐が生きていてよかったと思う。syrup16g が続いていてよかったと思う。こんなにかっこいいライブをするバンドが終わらなくて本当によかった。また野音でライブを見れる未来があって本当によかった。来年も楽しみにしているよ!


これは20年前のフライヤー。この中に私のコメントも載っている。当時、ダイマスさんのブログにコメントを送ったら全員載せてもらえた。

2024年10月31日

10月に聴いていた音楽です。

□「Maybe Tomorrow」Stereophonics
□「Eunoia」envy
□「Disco Punk Night!!! E.P.」the telephones


シロップの野音、立見席とカメラ席が解放されたのだが、販売開始時間にぴあにアクセスしたのにまたしても取れず。もう本当にやりきれない気持ちになったが、どうにも諦めきれなくて、その後数日ぴあをチェックしていたら、あるとき急に復活して、なんとチケットを取ることができた。最後の最後に奇跡が起きた。あとは台風が外れてくれることを祈るのみ。小雨ぐらいだといいのだが。土砂降りだったらフジロックの装備で行こうと思う。

2024年9月30日

9月に聴いていた音楽です。

□「In Waves」Jamie xx
□「Cascade」Floating Points
□「Like All Before You」The Voidz
□「CHAOS Z.P.G.」DOGADOGA
□「自然とコンピューター」OGRE YOU ASSHOLE
□「Town Dune」王舟
□「稜線」the elks


昨年の9月に帯状疱疹にかかってしまったのだが、今年も9月にまた帯状疱疹が再発してしまった。左耳に激痛が走る。医者の話では、台風や低気圧の影響などで出てしまうこともあるらしい。耳が痛すぎて、行く予定だった波多野さんのソロライブに行けなくなってしまい、精神的にも落ち込んだ。

syrup16g野音のチケット、先行3回とも取れず、一般でも取れず。一般は10時ぴったりにイープラスにアクセスし、繋がったのに既に予定枚数終了だった。なんか今回のチケットの取れなさ、変な違和感を感じる。

9月末、やっと涼しくなってきたのはうれしいのに、季節の変わり目だからかいろいろ不安定。なるべく外に出かけるようにしたい。

2024年8月31日

8月に聴いていた音楽です。

□「Romance」Fontaines D.C.
□「Disaster Trick」Horse Jumper of Love
□「プライベート・スーパースター」ゆっきゅん・君島大空
□「808:Blue」とがる
□「虫けらの詩」 a flood of circle


8月初旬、イープラスのフジロックについてのアンケートに答えた。
言っておけば叶うかもしれないので。


8月27日、OASISが再結成した。
OASISが再結成するとは思わなかった。そんなことが起きるんだなあ。
8月26日のリアムとノエルの匂わせから、毎日OASISに関して何らかが発信され、それに興奮し続けている。
このブログのURLを見てくれている人にはわかってもらえると思うけど、やっぱりOASISなのだ。
そこに立っているだけでかっこいい。いつか私もああいう風になりたいと思って生きている。

syrup16g @ FUJI ROCK FESTIVAL '24

2024年7月27日(土)12:40
FUJI ROCK FESTIVAL ’24 WHITE STAGE

setlist
1 パープルムカデ
2 coup d’Etat
3 空をなくす
4 生活
5 神のカルマ
6 Sonic Disorder
7 明日を落としても
8 翌日
9 宇宙遊泳
10 Reborn


フジロックsyrup16g を見るのが夢だった。
UKPラジオで五十嵐さん中畑さん出演回の質問を募集していたときがあって、「フジロックに出たいと思いますか?」という質問を送ったこともある。

どうしてそんなにフジロックでシロップを見たかったのか。
それは、シロップってライブがめちゃくちゃかっこいいバンドで、迫力もグルーヴも一級品だから、あのフジロックの自然の中のでかいステージでやったら、めちゃくちゃすごいことになるだろうなと思ってたからだった。マイブラやオアシスやコールドプレイを見たフジロックで、シロップのライブを見てみたかった。

syrup16g 再始動から10周年の2024年、その夢が叶うことになった。
FUJI ROCK FESTIVAL ’24 出演決定。その知らせを初めて見た時は、夢じゃないかと思った。すぐには信じられなかった。しかも、ホワイトステージだったらいいな、と思っていたら、ホワイトステージ出演が発表された。夢みたいだった。

そしてついにその日がやってきた。7月27日。
朝は涼しかった苗場にだんだん太陽が照りつけてくる。
20年前に別のフェスに出たときは「晴れたら出ない!」と言っていたほど太陽や炎天下が苦手な五十嵐が、真夏の真昼の炎天下でライブする日がまたやって来るとはなあ、と感慨深くなる。

12:40、ステージに3人が登場。五十嵐はダブルピースをしながら出てきた。歓声が飛び拍手が沸き起こる。
五十嵐が「みんなお待たせ」と言い、ギターを弾き始めた。
『パープルムカデ』だ!!!
まさか『パープルムカデ』から来るとは!!!と、あのダダダ、ダダダ、というリズムに興奮していたが、よく考えれば、これはフジロックという大舞台、そして世界中に向けて配信されている中での syrup16g の1曲目であり、五十嵐なりの表明なのだと思った。『パープルムカデ』というのはそういう曲なのだ。

しかしなんてかっこいい曲なんだろう。間奏でリズムが変わるところとか五十嵐の叫びとか異常なほどのかっこよさで、それがでかいホワイトステージから繰り出されて苗場の空に響いていく。
< 俺は俺のままで > とか < 君は君のままで > とかそういう曲は数あれど、それに続くのが「そのままでいい」とかじゃなくて <下敷きになる> というのがどうしようもないほどリアルで、その痛い現実があのリズムに乗せてぶっ放されていくのを見ていた。私は今、目撃者なのだと思った。

< 声が聞こえたら > という五十嵐の声が聞こえてきて、もうみんなさっき以上に興奮しているのがわかった。早くも大合唱だ。そして『coup d’Etat』が来たらその後はもちろん『空をなくす』。この野外の空の下で『空をなくす』。最高だ。中畑さんのめためた叩くドラムが、野外だからどこまでも遠くまで響き渡っていく。

そして『生活』のイントロが空を切り裂くように鳴り響く。< それはまだ > < それも無駄 > の大合唱。諦めながら続く生活が、まさかフジロックにつながっていたとは。< そこで鳴っているのは目覚まし > という絶望が炎天下の熱とぶつかって弾け飛ぶように感じられた。

続く『神のカルマ』では、キタダさんの動くベースラインに、ストンと真っ直ぐに落ちる中畑さんのドラムが絡み、五十嵐の気怠い声が熱を帯びた空気の中を漂うと、再び今の世界にバンドや音楽がどう対峙するのかということを考えさせられた。今ここにいる自分がこの世界とどう向き合うのかということも。

『Sonic Disorder』のイントロのベースをキタダさんがクールに弾き始めると、またしても歓声が上がる。オールバックのキタダさんの佇まいが、今日はいつも以上にかっこよく感じる。みんなジャンプしたり拳を上げたり、すごい盛り上がりだ。シロップの壮絶な演奏も客のテンションも加速していき、曲の最後までどんどん、どんどんヒートアップしていった。

そこから『明日を落としても』が始まったときは息を呑んだ。フェスでこの曲をやるのか。五十嵐の切実さと赦しを孕んだ声が響いて、気づいたら泣いていた。なんて曲だ。必死にギターを掻き鳴らし、必死に歌う五十嵐をただ見つめていた。あくまでも音楽の中ですべてをさらけだすその姿を見て、この人は間違いなくロックスターだと思った。
あと、中畑さんが手でシンバルを一発叩いたのが、なんかめっちゃかっこよかった。

『翌日』はどこまでも青く透明で、フジロックにめちゃくちゃ似合っていた。syrup16g の始まりの曲が、こんなにフジロックにぴったりの曲だったなんて、この日まで知らなかった。シロップの曲の美しさが自然の中で映えまくっていた。

ここまでは解散前の初期の曲だったが、ここで再始動後のアルバム『Hurt』から『宇宙遊泳』。ひとりひとりの孤独の果てにこんなに <ブッ飛んだ景色 > があって、中畑さんはずっと嬉しそうに笑っていて、五十嵐は暑さの中で力を振り絞っていて、キタダさんはとにかくかっこよくて、ほんとにシロップはすごいことをやってきたバンドだよ、と思った。

ラストは『Reborn』。やっぱり五十嵐の声ってすごい。すべてを浄化していく。最後、ステージのライトが客の方に向かってバッと明るくなったときは、武道館を思い出さざるを得なかった。でも今日は、太陽も客電だった。あのときとは違う。今の syrup16g には次の予定だってあるのだ。しかも、次も野外だ。

中畑さんがMCで「フェスに出るのは20年ぶり。あ~だから20年出れなかったんだ、っていうライブをしてしまうかもしれません」みたいなことを言っていたけど、全然そんなことなかった。それどころか、なんで今まで出れなかったのか意味不明なほど、この日のシロップはかっこよすぎた。もっと早く出てもよかったんじゃないか、と思ったけど、今が一番いいタイミングだったのかも、とも思った。シロップの曲の圧倒的な独自性と美しさと、迫力の演奏と3人の絶妙なアンサンブル、そういった今のシロップの魅力が全部詰まったライブだった。

ライブが終わって、ホワイトステージのハイネケン売り場で生ビールを買って飲んだ。今までフジロックで飲んだビールで一番おいしかった。
一度は「LIVE FORVER」というタイトルの武道館公演で解散したバンドが、16年の時を経て、ノエルギャラガーがヘッドライナーを務める2024年のフジロックに出演し、圧巻のライブをしたのだ。そしてなんと翌日、ノエルギャラガーがアンコールで『LIVE FOREVER』を歌ったのだ。諦めないほうが奇跡にもっと近づくのかもしれない、柄にもなく心からそう思えた2024年のフジロックだった。