ART-SCHOOL TRIBUTE LIVE 「 Dreams Never End vol.7 」
2026年4月3日(金) in Zepp Haneda
出演 ART-SCHOOL MO'SOME TONEBENDER syrup16g
ART-SCHOOL の結成25周年を記念して2025年8月にリリースされたトリビュートアルバム『 Dreams Never End 』。このアルバムに参加したバンドがART-SCHOOL と対バンしていくトリビュートライブの第7回目が、2026年4月3日に Zepp Haneda で開催された。
syrup16g、ART-SCHOOL、MO'SOME TONEBENDER のスリーマン。
私にとって、これほど特別なスリーマンは他にない。
時は遡り2003年、私はこの3バンドに夢中だった。
そんなとき、ロッキングオンが「JAPAN CIRCUIT」というイベントでとんでもない対バンを実現させた。 2003年6月15日、新宿リキッドルーム、出演はsyrup16g と ART-SCHOOL と レミオロメン。それだけでも歓喜だったけど、なんと追加でモーサムの出演も発表された。これはやばすぎた。
その後、それぞれのバンドにそれぞれいろんなことがあった。
そして2026年、ART-SCHOOL のトリビュートライブという形で、再びこの3バンドが集結した。すごい。やばい。奇跡。どうしよう。うれしい。
トップバッターは MO'SOME TONEBENDER だった。
ああ、かっこいい。なんてかっこいいんだ。
驚くべきことに、23年前の2003年と変わらないかっこよさだ。
あの日の怖いくらいのかっこよさ、ヒリヒリした吹き飛ばされそうな空気、百々の髪の隙間から光る眼。それが今もすぐそこに、目の前にあった。
昨年のツアーでもやってくれた『アンハッピー・ニューエイジ』は 2004年リリースの曲でまさに「あの頃」の曲なわけだけど、まるで「今」の曲みたいだなあと思いながら拳を上げていた。
武井の「わっしょいするか、超わっしょいするか」という二択にもちろん超わっしょいするを選択して『ロッキンルーラ』。
そして 2004年の超名盤『 The Stories of Adventure 』から『 GREEN & GOLD 』。圧倒的な音の波に恍惚としてしまう。なんてバンドだ。
それからいよいよART-SCOOL のカバーである『あと10秒で』。音源で聴くよりももっと力強くてロックで包み込まれるような『あと10秒で』になっていてすごくよかった。アートでドラムを叩いている勇が、アートの『あと10秒で』をモーサムの一員としてギターを弾いているのがおもしろくもあり、不思議でもあり、かっこよくもあった。
そんな『あと10秒で』でめちゃくちゃに盛り上がり笑いまくったあとの、最後の『 echo 』は洒落にならないくらいやばすぎた。呆然と立ち尽くしてしまい、ただステージを見つめることしかできなかった。2003年のあの日にモーサムに心を撃ち抜かれてしまったときと同じだった。私はすごいバンドに出会うことができた。またそう思った。
最近はモーサムのライブはクアトロで見ることが多かったので、Zeppというでかいステージでモーサムを見れたことも、とてもうれしかった。
あと、武井が「アートとシロップとやるの、なんかうれしいね。またやりましょう」みたいなことを言ったのがうれしかった。またやってほしい、本当に。お願いします。
二番手は syrup16g。
『 光のような 』『 Star Slave 』『 赤いカラス 』と、アルバム『 delaidback 』から3曲演奏。確かにこれは意外な選曲。どっしりした演奏で一気にシロップワールドに引き込まれていく。さすがだ。特に『 Star Slave 』がよかったなあ。
五十嵐が「モーサムかっこよかったねえ」としみじみ言ったのが、なんか今日五十嵐とモーサムのかっこよさを共有できたんだなあって思ってうれしかった。あと五十嵐ってそんなにモーサムを好きだったんだなあって、それもちょっと意外でうれしかった。その後、「個人的に(モーサムが)見たいっていうだけで来たんだけど、アートスクールのために最後まで頑張る!」ってガッツポーズしながら言ってた。
そして ART-SCHOOL のカバー『 EVIL 』。えぐいほどかっこいい演奏だった。2003年4月にリリースされたこの曲の、切迫していてささくれだっていてどうしようもなくて刹那でしかない、木下理樹とアートスクールのすべてが、シロップの演奏と五十嵐隆の声によって増幅されていくのが不思議であり、同時にあの頃のオルタナの勝利のようにも思えた。それほど爽快で、オルタナ・グランジのかっこよさに溢れた演奏だった。もう私はそれだけで満たされた。『 EVIL 』が終わったあと、五十嵐が「天才!」と言った。考えうる限りこの世で最高の、木下理樹とアートスクールに対する賛辞だった。
その後、新曲もやり(さすがシロップだよ)、『 明日を落としても 』と『 My Song 』。 そういえば『 My Song 』も 2003年の曲だ。最近のシロップはしっとりした曲もリズム隊のすごさで迫力を携えて音が伝わってくるので、よりぐっときてしまう。あの頃のよさもあるけど、今のシロップがすごく好きだなと思ったライブだった。
ラストは ART-SCHOOL。
『ロリータキルズミー』で始まったライブはジェットコースターのようで、私はずっと踊っていた。
だが、『 LILY 』が来たとき、思わず立ち止まってしまった。やはり 2003年にリリースされた『 SWAN SONG 』の1曲目のこの曲には、今でも私の一部が静かに息をしていた。誰にも言えない、自分の一番中心にある気持ち。それを目の当たりにしてしまった。同じく『 SWAN SONG 』からの『 LOVERS 』、そこからの『 MISS WORLD 』でもうだめだった。
ART-SCHOOL ってなんて不思議なバンドなんだろうと改めて思った。
そのメロディーやバンドサウンドが好きであることは間違いないが、それがすべてだというわけでもなくて、共感しているわけでもなくて、ただ確実に自分の一部がそこで息をしている。
ライブで繰り出される曲に、一曲一曲、ああこの曲もそうだ、この曲にも自分がいる、あるいは自分がいた、と思い知らされながら、本当に稀有なバンドだと思い、本当に変な23年だった、と思った。
アンコールでシロップとモーサムがカバーした『 EVIL 』と『 あと10秒で』を見ていると、あの頃は勇がアートスクールで叩くなんて想像もしていなかったなと思った。でも勇がドラムを叩いている今のアートスクールは、他のどのバンドにも真似できない独自の音をフロアに放つ、特別なバンドになったと思う。2003年のヒリヒリしたアートスクールはもういないけど、みんなでつくりあげた今の特別なアートスクールの音がそこにあった。それも素晴らしいことだと思った。バンドを続けるって本当に大変なことだから。
最後には、ART-SCHOOL への感謝で溢れていた。
ART-SCHOOL がバンドを続け、そしてこの日に syrup16g と MO'SOME TONEBENDER を招いてこのイベントを開催してくれたことに、本当に感謝しています。ありがとう、ありがとう、ありがとう。
そしてそれは、木下理樹だけじゃなくて、2003年に ART-SCHOOL とsyrup16g と MO'SOME TONEBENDER をフロアで見ていたトディーの、その後の努力の賜物なんだと思う。本当にありがとう。
それから、この3バンドはやっぱり自分にとって本当に特別なバンドで、本当に色々な場面で助けてもらってきたなあと、そのかけがえのなさに改めて気づいた。出会えたことも奇跡だと思うし、ずっと新譜をリアルタイムで聴けたりライブに行ったりできることも奇跡だと思った。ずっとかっこよくいてくれてありがとう。夢を終わらせないでくれてありがとう。これからもそれぞれの夢が続きますように。
P.S. この日、開演前や転換時には radiohead の『 OK Computer 』が流れていた。それを聴いていると、2000年代初頭の日本のバンドは多かれ少なかれこのアルバムに影響を受けていたなあと改めて感じた。レミオロメンの「レ」もレディオヘッドの「レ」だもんなあ。

ボロボロの2003年JAPAN CIRCUITのTシャツ。とっておくものですね。