2024年9月30日

9月に聴いていた音楽です。

□「In Waves」Jamie xx
□「Cascade」Floating Points
□「Like All Before You」The Voidz
□「CHAOS Z.P.G.」DOGADOGA
□「自然とコンピューター」OGRE YOU ASSHOLE
□「Town Dune」王舟
□「稜線」the elks


昨年の9月に帯状疱疹にかかってしまったのだが、今年も9月にまた帯状疱疹が再発してしまった。左耳に激痛が走る。医者の話では、台風や低気圧の影響などで出てしまうこともあるらしい。耳が痛すぎて、行く予定だった波多野さんのソロライブに行けなくなってしまい、精神的にも落ち込んだ。

syrup16g野音のチケット、先行3回とも取れず、一般でも取れず。一般は10時ぴったりにイープラスにアクセスし、繋がったのに既に予定枚数終了だった。なんか今回のチケットの取れなさ、変な違和感を感じる。

9月末、やっと涼しくなってきたのはうれしいのに、季節の変わり目だからかいろいろ不安定。なるべく外に出かけるようにしたい。

2024年8月31日

8月に聴いていた音楽です。

□「Romance」Fontaines D.C.
□「Disaster Trick」Horse Jumper of Love
□「プライベート・スーパースター」ゆっきゅん・君島大空
□「808:Blue」とがる
□「虫けらの詩」 a flood of circle


8月初旬、イープラスのフジロックについてのアンケートに答えた。
言っておけば叶うかもしれないので。


8月27日、OASISが再結成した。
OASISが再結成するとは思わなかった。そんなことが起きるんだなあ。
8月26日のリアムとノエルの匂わせから、毎日OASISに関して何らかが発信され、それに興奮し続けている。
このブログのURLを見てくれている人にはわかってもらえると思うけど、やっぱりOASISなのだ。
そこに立っているだけでかっこいい。いつか私もああいう風になりたいと思って生きている。

syrup16g @ FUJI ROCK FESTIVAL '24

2024年7月27日(土)12:40
FUJI ROCK FESTIVAL ’24 WHITE STAGE

setlist
1 パープルムカデ
2 coup d’Etat
3 空をなくす
4 生活
5 神のカルマ
6 Sonic Disorder
7 明日を落としても
8 翌日
9 宇宙遊泳
10 Reborn


フジロックsyrup16g を見るのが夢だった。
UKPラジオで五十嵐さん中畑さん出演回の質問を募集していたときがあって、「フジロックに出たいと思いますか?」という質問を送ったこともある。

どうしてそんなにフジロックでシロップを見たかったのか。
それは、シロップってライブがめちゃくちゃかっこいいバンドで、迫力もグルーヴも一級品だから、あのフジロックの自然の中のでかいステージでやったら、めちゃくちゃすごいことになるだろうなと思ってたからだった。マイブラやオアシスやコールドプレイを見たフジロックで、シロップのライブを見てみたかった。

syrup16g 再始動から10周年の2024年、その夢が叶うことになった。
FUJI ROCK FESTIVAL ’24 出演決定。その知らせを初めて見た時は、夢じゃないかと思った。すぐには信じられなかった。しかも、ホワイトステージだったらいいな、と思っていたら、ホワイトステージ出演が発表された。夢みたいだった。

そしてついにその日がやってきた。7月27日。
朝は涼しかった苗場にだんだん太陽が照りつけてくる。
20年前に別のフェスに出たときは「晴れたら出ない!」と言っていたほど太陽や炎天下が苦手な五十嵐が、真夏の真昼の炎天下でライブする日がまたやって来るとはなあ、と感慨深くなる。

12:40、ステージに3人が登場。五十嵐はダブルピースをしながら出てきた。歓声が飛び拍手が沸き起こる。
五十嵐が「みんなお待たせ」と言い、ギターを弾き始めた。
『パープルムカデ』だ!!!
まさか『パープルムカデ』から来るとは!!!と、あのダダダ、ダダダ、というリズムに興奮していたが、よく考えれば、これはフジロックという大舞台、そして世界中に向けて配信されている中での syrup16g の1曲目であり、五十嵐なりの表明なのだと思った。『パープルムカデ』というのはそういう曲なのだ。

しかしなんてかっこいい曲なんだろう。間奏でリズムが変わるところとか五十嵐の叫びとか異常なほどのかっこよさで、それがでかいホワイトステージから繰り出されて苗場の空に響いていく。
< 俺は俺のままで > とか < 君は君のままで > とかそういう曲は数あれど、それに続くのが「そのままでいい」とかじゃなくて <下敷きになる> というのがどうしようもないほどリアルで、その痛い現実があのリズムに乗せてぶっ放されていくのを見ていた。私は今、目撃者なのだと思った。

< 声が聞こえたら > という五十嵐の声が聞こえてきて、もうみんなさっき以上に興奮しているのがわかった。早くも大合唱だ。そして『coup d’Etat』が来たらその後はもちろん『空をなくす』。この野外の空の下で『空をなくす』。最高だ。中畑さんのめためた叩くドラムが、野外だからどこまでも遠くまで響き渡っていく。

そして『生活』のイントロが空を切り裂くように鳴り響く。< それはまだ > < それも無駄 > の大合唱。諦めながら続く生活が、まさかフジロックにつながっていたとは。< そこで鳴っているのは目覚まし > という絶望が炎天下の熱とぶつかって弾け飛ぶように感じられた。

続く『神のカルマ』では、キタダさんの動くベースラインに、ストンと真っ直ぐに落ちる中畑さんのドラムが絡み、五十嵐の気怠い声が熱を帯びた空気の中を漂うと、再び今の世界にバンドや音楽がどう対峙するのかということを考えさせられた。今ここにいる自分がこの世界とどう向き合うのかということも。

『Sonic Disorder』のイントロのベースをキタダさんがクールに弾き始めると、またしても歓声が上がる。オールバックのキタダさんの佇まいが、今日はいつも以上にかっこよく感じる。みんなジャンプしたり拳を上げたり、すごい盛り上がりだ。シロップの壮絶な演奏も客のテンションも加速していき、曲の最後までどんどん、どんどんヒートアップしていった。

そこから『明日を落としても』が始まったときは息を呑んだ。フェスでこの曲をやるのか。五十嵐の切実さと赦しを孕んだ声が響いて、気づいたら泣いていた。なんて曲だ。必死にギターを掻き鳴らし、必死に歌う五十嵐をただ見つめていた。あくまでも音楽の中ですべてをさらけだすその姿を見て、この人は間違いなくロックスターだと思った。
あと、中畑さんが手でシンバルを一発叩いたのが、なんかめっちゃかっこよかった。

『翌日』はどこまでも青く透明で、フジロックにめちゃくちゃ似合っていた。syrup16g の始まりの曲が、こんなにフジロックにぴったりの曲だったなんて、この日まで知らなかった。シロップの曲の美しさが自然の中で映えまくっていた。

ここまでは解散前の初期の曲だったが、ここで再始動後のアルバム『Hurt』から『宇宙遊泳』。ひとりひとりの孤独の果てにこんなに <ブッ飛んだ景色 > があって、中畑さんはずっと嬉しそうに笑っていて、五十嵐は暑さの中で力を振り絞っていて、キタダさんはとにかくかっこよくて、ほんとにシロップはすごいことをやってきたバンドだよ、と思った。

ラストは『Reborn』。やっぱり五十嵐の声ってすごい。すべてを浄化していく。最後、ステージのライトが客の方に向かってバッと明るくなったときは、武道館を思い出さざるを得なかった。でも今日は、太陽も客電だった。あのときとは違う。今の syrup16g には次の予定だってあるのだ。しかも、次も野外だ。

中畑さんがMCで「フェスに出るのは20年ぶり。あ~だから20年出れなかったんだ、っていうライブをしてしまうかもしれません」みたいなことを言っていたけど、全然そんなことなかった。それどころか、なんで今まで出れなかったのか意味不明なほど、この日のシロップはかっこよすぎた。もっと早く出てもよかったんじゃないか、と思ったけど、今が一番いいタイミングだったのかも、とも思った。シロップの曲の圧倒的な独自性と美しさと、迫力の演奏と3人の絶妙なアンサンブル、そういった今のシロップの魅力が全部詰まったライブだった。

ライブが終わって、ホワイトステージのハイネケン売り場で生ビールを買って飲んだ。今までフジロックで飲んだビールで一番おいしかった。
一度は「LIVE FORVER」というタイトルの武道館公演で解散したバンドが、16年の時を経て、ノエルギャラガーがヘッドライナーを務める2024年のフジロックに出演し、圧巻のライブをしたのだ。そしてなんと翌日、ノエルギャラガーがアンコールで『LIVE FOREVER』を歌ったのだ。諦めないほうが奇跡にもっと近づくのかもしれない、柄にもなく心からそう思えた2024年のフジロックだった。

2024年6月30日

6月に聴いていた音楽です。

□「Scream from New York, NY」Been Stellar
□「Notes from a Quiet Life」Washed Out
□「Walk Thru Me」The Folk Implosion
□「Ray/Melt Valley」Hue's


syrup16g 再始動から10年だって。
当時、渋谷駅の地下に貼られたポスターの写真がカメラロールにあった。



あと最近ポータブルCDプレーヤーを買った。


再考 ART-SCHOOL『Requiem for Innocence』- サブクス解禁に寄せて -

今から22年前、「透明な音」というものが存在することを初めて知った。
ART-SCHOOL のファーストアルバム『Requiem for Innocence』を聴いたときだった。

透明な音、そのクリーンの爆音は、まさに「イノセンス」だった。
ポータブルCDプレーヤーの再生ボタンを押してその眩い透明な音が溢れ出すと、虐げられてきたイノセンスが次々と解放されていった。

< ねぇ 今から 美しい物を見ないか? >
そう言って始まるこのアルバムは、すぐに < 僕らはただ 失っていく > し、美しい物は < シャボン玉が舗道に落ち 砕けた瞬間 > の <刹那> にしか存在しないのだと知らされる。
そう、『Requiem for Innocence』には 「刹那」しかない。
ずっと急いでいて、バンドは叩きつけるように演奏し、木下理樹は性急に叫び、その「瞬間」はすぐに過ぎ去ってしまう。< 夏に咲く あの花は腐った> し、< 君が吐いた白い息 > は次の瞬間には跡形もなく消えてしまう。

出会って、その場しのぎで傷を舐め合う。
だが、決して本質的につながることはできない。
< 硝子の向こう 手を伸ばした だけど触れもしなかった >
< 手を伸ばして 触ろうとして 音も立てず崩れた >
いつだって手を伸ばして触ろうとすると、その瞬間に失ってしまう。
「刹那」にしか存在せず、「刹那」にしか感じることができない。

それは、まるで音楽そのものみたいだ、と思う。
特にライブがそうだ。数千円払って、一夜にして消えていく。
演奏するそばから、音はやがて消えていく。音はそのわずかな空間と時間、刹那にしか存在しない。物理的なものは後には何も残らない。

だけど、その刹那の輝きが、一瞬の温もりが、何もない人生の中でどれだけの灯火になってくれただろう。『Requiem for Innocence』を聴いていると、その「刹那」が音楽を愛してしまった者にとってどれだけ美しいものかということを再認識させられる。
このアルバムの中の「僕」は、<あどけなく笑って> とイノセンスを君に求めながら、自らは汚れていく。だが、その汚れさえ音が洗い流していけば、いつの間にか美しさに変わっていくのだ。その「刹那」は、少なくとも私にとっては、いつだって信じられるものだった。

あの頃、狂ったように聴いて、狂ったように焦がれていたアルバムラストの『乾いた花』は、今聴くとその「刹那」が極まりきってはじけていた。
< 繋がれていたいよ > < 生き残っていたいよ > という願いにすら < 今日は > という期限が付されていて、僕たちに明日はなかった。でも、だからこそ、この曲はやっぱりどこまでも美しかった。あんなに叩きつけて、あんなに叫んでおきながら、最後はそっと音を置いていくみたいに終わるところまで、すべてが美しかった。

ゴミ溜めの中のゴミは、今日も刹那でしかない音楽に助けられて生き延びる。その透明な音に手を伸ばすとき、絶対に触れることなんかできないのに、美しさで満たされる。そして、生きていけるわけではないが、一瞬だけ <生きて行ける 気がして >、解き放されたイノセンスを給水塔の縁の上に置いた。

Hue's 「ONEWAY TICKET TOUR FINAL」

Hue's ワンマンライブ「ONEWAY TICKET TOUR FINAL」
2024年6月7日(金) @ 新代田FEVER

setlist
1. Heine
2. Akira boy
3. Trash
4. umi e umi e
5. 長い夢が覚めて
6. You Say Hello
7. ドラマ
8. 雨
9. my girl
10. Missing
11. melt valley
12. Hallelujah
13. Flowers
14. Poolside
15. Snow
16. Birthday
17. Ray
18. ひまわり
19. Shangri-la
20. ベランダ
21. 夏を待っている
22. スタンドバイミー
23. (世界の終わり、からの) Youth
24. Mayday
25. Luka

En.
26. She was Lonely
27. SWAN
28. I LOVE YOU
29. Luka(dr.もりかず)
30. ALMA
31. Hate
32. Luka



19:30、客席の照明が落ち、暗闇にソニックユースの『Incinerate』が鳴り、メンバーがステージに上がる。
『Heine』で幕を開けたライブは、MCなしでひたすら曲が紡がれてゆく。
エンジンをかけてドライブが始まり、ここから Hue's と共に旅が始まっていく。そこに静かに巻き込まれていくことに興奮していた。
『umi e umi e』の古から吹いてきた風のようなメロディーに、『長い夢が覚めて』の遠い日の窓際で聞いていたようなギターリフに、不思議な感覚に陥っていく。すると、どこから射してきたのか正体不明の光が『You Say Hello』で不意にやってきた。このバンドは、音が輝いている。特にギターの音が。『ドラマ』の頃にはすっかり自分がどれだけこのバンドのことが好きでたまらないかを思い知らされていた。
『Missing』が終わったところで、「もう10曲くらいやったけど、あと2時間ぐらい続くんで」。
ほんとかよ、と思ったが、同時に楽しみでたまらない。

そして『melt valley』で、よりドープな世界への旅が始まる。
フジロックの奥地で夜に鳴っているみたいな音楽だ。原始的で、少しサイケデリックで、酩酊と混沌がある。

で、ここから20曲以上あったはずなのに、体感は一瞬だった。なんてこった。そんなことってある?
『Poolside』の眩しさに、『Birthday』の刹那に、胸をしめつけられたかと思えば、『Shangri-la』が圧倒的な光でそれを押し流し、『ベランダ』でついにHue's ここに極まれり、といった感覚になった。もう音楽は彼らのものだった。音楽に捧げた者しか、これは得られない。

こうなったらもう無敵状態。
「夏を待っている」、ただそれだけのことがここまで意味を持つ。
あのアウトロの凄まじさ。これだからロックバンドが好きだ。
おそらく色々なたくさんの思いを込めたミッシェルの『世界の終わり』でぶち上げてからの、それに引けを取らない『Youth』の輝き。『Incinerate』の引用から、道が開けて彼らがオリジナルをもぎ取っていく。そこで掻き鳴らしたギターと唸る5Wアンプと涙さえも掻き消すノイズで。もうだめだ。好きでたまらない。そしてその後は私が一番好きな『Mayday』だ。もうどうにでもしてくれ。このバンドに出会えて本当によかった。高速で『Luka』を鳴らして本編終了。

アンコールはもう正直あまり覚えていない。
高揚し切っていたのが『Hate』でさらに天井が抜けるみたいにもう一段駆け上がったのだけはなんとなく覚えている。

ギターはいつの間にかジャズマスターから SG へ、そしてまたいつの間にかブラストカルトへと持ち替えられていて、やっぱり私はブラストカルトの鳴りにどうにかなりそうなほど惹きつけられていた。

2時間半、あっという間だった。温泉に入っていたみたいだった。
Hue's のライブは、音が尖っていない。柔らかい、というのとも多分少し違って、突き刺さってくるのではなく、いつの間にかじわじわと包まれ、体の芯が温まってくる感じ。そう、温泉だ。そんなライブをするロックバンドって、あんまりいないと思う。

この32曲に及ぶワンマンライブを体験できたことは、私にとって本当に幸せなことで、かけがえのないものを受け取ることができた。
本当に、Hue's のみなさんありがとう。
また、東京でたくさんライブしてください。
あと、いつかフジロックに出てください。