2025年1月4日~5日に開催された「rockin’on sonic」に行ってきた。
「rockin’on sonic」は、ロッキング・オンとクリエイティブマンが共同で開催する洋楽フェスで、出演バンドは全アクト洋楽。こういうフェスやイベントって近年なかったような気がする。2015年までは「Hostess Club Weekender」があったけど。(えっ、2015年が10年前?なんてこった、、、)
ラインナップが発表された時点で、絶対行こうと心に決めた。デスキャブが出るというだけで行かざるを得ない。もしかしてだけど、もしかしてだけど、新年に『The New Year』聴けるんじゃないの!?やばっ!!!そして追加でデジタリズムが発表されたときは嬉しすぎて「ロッキングオン!!!やればできるやないか!!!」と叫びそうになった。(謎の上から目線)
1月4日、昼ごろ幕張メッセに向かう。ライブでしか行くことのない海浜幕張や新木場の、やたら無機質で車だけがビュンビュン走っている感じがとても苦手だ。こういう場所をひとりで歩いていると宇宙にひとりだけでいるような気がしてきて、寒々とした気持ちになってくる。新木場はもうスタジオコーストがなくなってしまったから行くこともないんだけど。
会場に着いて中に入ったら、懐かしい光景が広がっていた。遥か昔に行ったCDJ(COUNTDOWN JAPAN)を思い出した。数日前まで行われていたCDJのセカンドステージとサードステージと飲食エリアをそのまま使っているのだからそりゃそうなのだが、ずっとCDJにも行ってなかったからあの感じがとても懐かしかった。
ステージは2ステージ(キャパ20000人のGALAXY STAGE とキャパ8000人の COSMO STAGE)で、タイムテーブルは被り一切なしで交互にライブが行われる。壁際にはズラっとフードの店が並び、飲食するためのテーブルと椅子も大量に並べられていた。この日は基本的には2ステージを行ったり来たり、途中頻繁にトイレ行ったり(全然並ばず)、足が限界になったら椅子に座って休んだり、という感じで過ごした。
この日、一番しびれたのは、JIMMY EAT WORLD だった。かっこいい、なんてもんじゃなかった。ベースやばすぎる。
ジムはあんなにかっこいいのに、あくまでもただギターを弾いて歌うというその佇まいがバンドマンの見本というか、バンドを始めた少年そのものというか、なんかもうその姿がグッと来すぎて胸が熱くなった。白いテレキャスがまたかっこいいよ。
『Sweetness』はもちろん盛り上がりもすごかったし曲の圧倒的なパワーにやられたけど、2022年リリースの『Something Loud』もめちゃくちゃかっこよかったし、『Work』や『Pain』のギターソロも最高だった。
Friendly Fires は最初からずっとエドがキレキレの謎ダンスでステージ上を駆け回っていたので、おもしろくて楽しくてこっちもずっと踊っていた。みんな踊っているフロアを眺めながら2010年くらいにDJイベントに行っていた頃を思い出して思わず手を掲げた。『Paris』を生で聴いたら泣いてしまうかも、と思っていたけど、楽しい気持ちのまま感動した。エドがフロアに降りてきて踊っていたのも楽しすぎた。ギターはマラカスをスライドバー代わりにして弾いていたのが面白かった。
Primal Scream は大御所感がすごかった。ライブというよりはショーだった。私はそういうエンタメショー的なものはそこまで好きではないのだが、それでも最後にはまんまと踊らされていた。ボビーのオーラがすごかった。
そして St.Vincent は圧巻だった。ものすごいエネルギーだった。
1月5日も昼頃にメッセに向かう。あまり眠れなかったがなぜか元気だ。ライブの力だろうか。
2日目はジザメリから。年始早々フィードバックノイズに包まれてるなんて、ほんと良い年明けです。ギターは分厚く、ドラムは意外とタイトで驚いた。想像してたよりは轟音ではなかったが、それぞれの音がかっこいい。というか、ロキソニ、どの場所で聴いても音がいい。幕張メッセっていうことでそこまで期待してなかったんだけど、音めっちゃよかった。
そして、DIGITALISM、これがほんとにほんとにほんとに最高だった!!!
バキバキだった。そう、私はバキバキが好きだったんだよー!!!ってなった。SIMIAN MOBILE DISCOとかさ、大好きだったんだよ。Kitsunéレーベル。体が勝手に動いてしまうやつ。隣のイケてる髪色の姉ちゃんも、目の前のロン毛の兄ちゃんも、みんな我を忘れて踊り狂っている。最高の空間だった。これぞフェスや。二人が向かい合うスタイルもかっこよかったし、「トウキョウ、ブチアガレー!」って叫んだときほんとにぶち上がった(笑)ロキソニにこのバキバキ枠絶対必要だと思った。
MANIC STREET PREACHERS は、1曲目『You Love Us』からもう引き込まれた。ジェームスの高音がすごい。聞き惚れる。『Motorcycle Emptiness』も『Yes』も最高だったし、『A Design For Life』の大合唱で心が完全に満たされた。ベテランの貫禄に圧倒されて、ライブ終わったあとは「さすがマニックス」以外何も言葉が出てこなかった。どっしりを通り越してもはや軽やかですらあった。見れてよかった。
そして、いよいよデスキャブ。このために来た。
『I Don’t Know How I Survive』で始まり、ああ、今、デスキャブ見てるんだなあと、あの音の重なりにたまらない気持ちになる。『Roman Candles』とアルバム『Asphalt Meadows』からの曲が続き、そして『The New Year』!本当に新年に『The New Year』聴けてしまった!ああ、大好きだ、、、歌ってしまうよこれは、、、
『Kintsugi』から『The Ghosts of Beverly Drive』『Black Sun』をやってその辺りでもうどっぷり酔いしれていた。完璧なバンドアンサンブル。優勝です。やっぱりデスキャブが優勝です!
『Transatlanticism』ではハンドマイクでステージの端まで来てくれた。
I need you so much closer(涙)それから、大好きなアルバム『Plans』から『Croocked Teeth』『Soul Meets Body』をやってくれたのが本当に嬉しくてもう夢中だった。Plans、まじどんだけ聴いたと思ってんだ、、、ほんとは『What Sarah Said』も聴きたかったけど、、、
ラスト、ロキソニのトリはWEEZER 。
WEEZER楽しみにしてたけど、ここまで楽しいとは、ここまで自分の中の何かを掻き立てられるとは、想像以上だった。
「VOYAGE to the BLUE PLANET」というコンセプトで、色んなアルバムから1曲ずつやった後、「Pinkerton Asteroid Belt」というターンで『Pinkerton』から 4曲披露、そして BLUE PLANET に辿り着き、あのWマークの旗を立て、『My Name Is Jonas』。そう、ブルーアルバムの1曲目だ。で、ここから怒涛の青盤再現ライブですよ。いやまじでどんだけ聴いたと思ってたんだよブルーアルバム。ってあそこにいた人、私以外もみんなそう思ってたんだろう。もうずっと大合唱。だって自然と全部歌えるのよこれが。もう自分の中に染みついていて、いつでも取り出せるものなんだなと実感した。そして、WEEZER の曲の力に改めて慄いた。最後が『Only In Dreams』なのもよかった。あのアウトロ、素晴らしかった。この夢が終わってほしくないなー、ずっと聴いていたいなーと思った。結局ロキソニは最後に全部 WEEZER が持っていった。
帰り、メッセの外に出ると寒さが気持ちよかった。海浜幕張駅まで歩いているとき、この歩いている人たちみんな WEEZER とかデスキャブ好きなんだなと思って嬉しくなった。こんなに音楽好きな人いっぱいいるんだなあ。電車の窓からはディズニーの花火が見えた。良い年明けだ。
JIMMY EAT WORLD の『Sweetness』も、Friendly Fires の『Paris』も、DIGITALISM の『 Zdarlight 』も、デスキャブの『The New Year』も、WEEZER の『Buddy Holly 』も、懐かしさよりも「今ここで鳴っていること」がすべてだった。それはステージに立っているミュージシャンがみんなバリバリかっこよく「今」を鳴らしていたからなんだと思う。50代60代のミュージシャンがみんな元気でかっこよくてずっと音楽を続けていて、そのことにとても元気づけられた。
文句のつけようがない素晴らしいフェスだった。
まずは出ているバンドが素晴らしいバンドばかり、それを被りなしで、がんばればすべて見ることができる。
トイレやフードにそんなに並ばないで済むので、GALAXYとCOSMOの間にサッと行くこともできる。
冬なので踊っても汗かかないので体力も奪われず、最後まで楽しめる。
走り出す人もいない、無理矢理割り込んでくる人もいない、謎ルールを押しつけてくる人もいないから、ノーストレス。
音楽を好きな人たちが、音楽に集中し、無我夢中で音楽を楽しめる空間だった。
時期もよかったと思う。新しい年を音楽とともに始められるというのが精神的にとてもいい。元気になって、今年もがんばろうという気になる。実際、翌日の1月6日、ずっとこっそりWEEZERを口ずさんでいるぐらい私は元気だった。I don’t care they say about us anyway/I don’t care ‘bout that
こうすればもっとよくなるかも、という点を敢えて上げるとすれば、
□ DJブースがあってもいいかもしれない。
昔のCDJを思い出して、あの頃DJブースあったなあって。しかも結構洋楽もかかってたよなあって。ちゃんとBPM揃えてストーリーも考えて繋ぐDJだったよなあって。片平さん前田さん保坂さん。前田さんは随分前にDJやめちゃったみたいだけど、もう二度とやらないのかなあ。
□ ビール以外の酒がもうちょい種類あったらもっと呑むかもしれない。
冬は夏ほどビール飲まない人も多いのでは。みんな年齢も年齢ですし、、、
まあ、でも、ほんとになんの不満もない、心から楽しめるフェスだった。
山崎さんが選曲したっていう会場BGMもよかった。MGMT とかストロークスとかぶち上がったもんね~。運営側は厳しいところもあるかもしれないけど、来年も是非開催してほしいです。