syrup16g @ 日比谷野外音楽堂 (2024年11月2日)

syrup16g日比谷野外音楽堂
2024年11月2日(土) start 17:30

setlist
1. クロール
2. 前頭葉
3. Heaven
4.もういいって
5. 翌日
6. 生活
7. 真空
8. Breezing
9. エビセン
10. 明日を落としても
11. 赤いカラス
12. I Hate Music
13. In My Hurts Again
14. 変拍子
15. 光なき窓

En-1
16. Sonic Disorder
17. 神のカルマ
18. 落堕
19. coup d'Etat
20. 空をなくす

En-2
21. Reborn


11月2日(土)、15時の時点では雨はまだ降っていなかった。
だが、予報通り、16時頃から雨は降りはじめ、入場を待つ頃にはかなり降ってきた。

立見だったので開演直前の入場で、紙チケットはびしょ濡れになった。
ステージは遠かったが、人と人の隙間からなんとか見える位置だった。

土砂降りの中、『クロール』でライブが始まる。2004年の野音もこの曲で始まったなあと思う。この時点で体感的にはかなり雨がきつくて、どうなってしまうんだろうと少し不安になった。

だが、2曲目『前頭葉』でなんかもう全てが吹っ飛んだ。イントロのかっこよさと「あせるな/そこで突っ立ってりゃいい」という歌詞に笑ってしまう。確かに今日はここで突っ立ってるしかない(笑)踊ることも腕を上げることもできないが突っ立ってることはなんとかできる(笑)
もう完全にエンジンがかかって『Heaven』で加速していくバンドアンサンブル。そして『もういいって』で2004年のリアルが野音に再び蘇った。あの時代の世界、使い捨てにされること、諦め、無力感、投げやりで生きる毎日。それが雨と照明でぼやける視界にぼんやりと浮かんでいた。

かと思えば次は視界をガラッと変える『翌日』。これは晴れてたら最高だったのかもしれないけど、雨でもなんでも今日ここに来れたのが「奇跡」なんだよなと思う。今回本当にチケットが全然とれなくて、先行3回とも取れず、一般も10時ちょうどにぴあにアクセスできたのに取れず、直前に立見券とカメラ席券が発売されたがこれも19時ちょうどにアクセスできたのに取れず。
ここまでファンがチケットとれないのってなんか変だなとイライラしていた。諦めきれずその後もぴあをチェックしていたら、数日後の昼になんと立見券が復活していてそこで買えたからよかったんだけど。だからこの日は雨の中、奇跡を噛み締めながら『翌日』を聴いた。

そこからなんと『生活』。『翌日』からの『生活』はやばすぎる。
< 生活はできそう?> を野音で聴くと、物価も高いし消費税も高いし、、、と隣の建物に向かって思ったりしちゃいますが。

そしてその勢いのまま『真空』。ぶち上がる。もう雨でもなんでも来い。中畑さんの「ロックンロール!」で冷えてた体も体温を取り戻したぜ。

続く『Breezing』『エビセン』では照明も相まって夢を見ているようだったが、それを切り裂くように『明日を落としても』。この曲のすごいところは
< そう言ってうまくすり抜けて/そう言ってうまくごまかして/そう言って楽になれる事/そう言っていつの間にか気付いていた > というフレーズで客観性と俯瞰をぶち込んでくるところだと思うが、この日この曲がこの場所で演奏されるのを聴いていると、その客観性と俯瞰が五十嵐を、私たちを、アレから遅らせてきてくれたのだと思った。遅らせてきたからこの日があって、五十嵐がいて、syrup16g がいて、レインコートを羽織った私たちがいる。最後の問いかけにもう Yes とも No とも答えられないが、それでいいのかもしれない。

五十嵐が「『つらいことばかりで』って、こっちの方がつらいよって感じだよね、ごめんね。」って言って、笑ってしまった。確かに〜。
あとどこだったか忘れたけど、客席を見て「野戦病院みたい、、、」って言ってた(笑)確かに〜。

驚いたのは『赤いカラス』をやったこと。これはなんか予想外だった。でもめちゃくちゃよかった。この曲は単純に名曲だと思う。あと、解散前と解散後と再始動後のいろいろが頭の中を駆け巡った。

バンドアンサンブルのかっこよさが際立っていたのは『 I Hate Music 』だった。軽快さと3ピースのよさが詰まっていて、こんなにすごい曲だったんだ、と曲に出会い直した感じだった。

ここから『 In My Hurts Again 』『変拍子』と重めのテンション。でも、この選曲をしたのすごいと思う。この重さを見せつけてこそ、syrup16g の雨の野音が完成すると言ってもいいと思う。この抜き差しならないものを交換し合うところが、syrup16g が唯一無二たる所以だからだ。確かこの辺りで雷が光り出してビビっていたのだが、今考えるとまるで演出のようだ。

そして本編ラストは『光なき窓』。これも予想外だったが、めちゃくちゃ嬉しかった。なぜならシロップの曲の中でもめちゃくちゃ好きな曲だから。最後、客席の方からの白いライトが光って、「光なき窓」から光が溢れてきて、もちろん syrup16g は光で溢れていて、その矛盾が愛しくて胸がいっぱいになった。五十嵐のシャウトとアウトロが美しくて、心の中まで光で満たされた。

アンコールはキタダさんが出てきて『Sonic Disorder』のイントロを弾く。かっこよすぎる。中畑さんが出てきて手拍子を煽る。最後に手拍子をしながら出てきた五十嵐もノリにのっていた。やっぱりこのバンドは、ギターロックバンドとして最高峰だと思う。3人の音の絡み方がかっこよすぎる。

『落堕』では五十嵐がハンドマイクでちょっと前まで出てきてしゃがんで歌っていた。かっこよかった。そういえば、解散前にも『落堕』でハンドマイクしてたことあったな、と思い出す。< 寝不足だって言ってんの!> は客席にマイクを向けた。みんなで叫んだ。それにしても < 明日また熱出そう > はなんというリアル。これだけ雨に濡れたら、明日熱出す人本当にいると思う。

アンコールの最後は『 coup d'Etat 』〜『空をなくす』。野外で『空をなくす』は最高だよ。< 今は飛べるよ > を < 今ーーーーーーーーーー!> って歌ってたのがめちゃくちゃかっこよかった。ハウってるギターに乗せて歌ってるのもかっこよかった。< この空をなくすまで > っていうのが、いつまでも音楽をやるっていう風に聴こえて、なんかよかった。

雨もすっかり弱まってきた中、ダブルアンコール『Reborn』でライブは幕を閉じた。最後は3人が前に出てきてたくさん手を振ってくれた。

はじまる前はどうなることかと思ったけど、なんとかなってほんとによかった。ステージが遠かったからメンバーの表情とかはわからなかったが、五十嵐のギターの弾き方がなんかめちゃくちゃかっこよかった。雨で余計に気合が入ったのかもしれない。あと、レインジャケットのフードをかぶっていたことで視界が狭くなり、よりバンドと自分の一対一の感覚が強まり、結果的にいつもよりライブに没入することができた。お馴染みの中畑さんの「よく来たね」もこの日はより気持ちが深く入ってるように感じた(笑)中畑さん「ライブの間だけ雨降るんだって。こんなバンドを見に来たばっかりに、、、」って言ってたけど、見に行って本当によかったよ。めちゃくちゃいいライブでした。

五十嵐が「野音でライブやれてよかった。みんなも生きててよかった」「来年も会いましょう」って言った。私も五十嵐が生きていてよかったと思う。syrup16g が続いていてよかったと思う。こんなにかっこいいライブをするバンドが終わらなくて本当によかった。また野音でライブを見れる未来があって本当によかった。来年も楽しみにしているよ!


これは20年前のフライヤー。この中に私のコメントも載っている。当時、ダイマスさんのブログにコメントを送ったら全員載せてもらえた。