Hue's ワンマンライブ「ONEWAY TICKET TOUR FINAL」
2024年6月7日(金) @ 新代田FEVER
setlist
1. Heine
2. Akira boy
3. Trash
4. umi e umi e
5. 長い夢が覚めて
6. You Say Hello
7. ドラマ
8. 雨
9. my girl
10. Missing
11. melt valley
12. Hallelujah
13. Flowers
14. Poolside
15. Snow
16. Birthday
17. Ray
18. ひまわり
19. Shangri-la
20. ベランダ
21. 夏を待っている
22. スタンドバイミー
23. (世界の終わり、からの) Youth
24. Mayday
25. Luka
En.
26. She was Lonely
27. SWAN
28. I LOVE YOU
29. Luka(dr.もりかず)
30. ALMA
31. Hate
32. Luka
19:30、客席の照明が落ち、暗闇にソニックユースの『Incinerate』が鳴り、メンバーがステージに上がる。
『Heine』で幕を開けたライブは、MCなしでひたすら曲が紡がれてゆく。
エンジンをかけてドライブが始まり、ここから Hue's と共に旅が始まっていく。そこに静かに巻き込まれていくことに興奮していた。
『umi e umi e』の古から吹いてきた風のようなメロディーに、『長い夢が覚めて』の遠い日の窓際で聞いていたようなギターリフに、不思議な感覚に陥っていく。すると、どこから射してきたのか正体不明の光が『You Say Hello』で不意にやってきた。このバンドは、音が輝いている。特にギターの音が。『ドラマ』の頃にはすっかり自分がどれだけこのバンドのことが好きでたまらないかを思い知らされていた。
『Missing』が終わったところで、「もう10曲くらいやったけど、あと2時間ぐらい続くんで」。
ほんとかよ、と思ったが、同時に楽しみでたまらない。
そして『melt valley』で、よりドープな世界への旅が始まる。
フジロックの奥地で夜に鳴っているみたいな音楽だ。原始的で、少しサイケデリックで、酩酊と混沌がある。
で、ここから20曲以上あったはずなのに、体感は一瞬だった。なんてこった。そんなことってある?
『Poolside』の眩しさに、『Birthday』の刹那に、胸をしめつけられたかと思えば、『Shangri-la』が圧倒的な光でそれを押し流し、『ベランダ』でついにHue's ここに極まれり、といった感覚になった。もう音楽は彼らのものだった。音楽に捧げた者しか、これは得られない。
こうなったらもう無敵状態。
「夏を待っている」、ただそれだけのことがここまで意味を持つ。
あのアウトロの凄まじさ。これだからロックバンドが好きだ。
おそらく色々なたくさんの思いを込めたミッシェルの『世界の終わり』でぶち上げてからの、それに引けを取らない『Youth』の輝き。『Incinerate』の引用から、道が開けて彼らがオリジナルをもぎ取っていく。そこで掻き鳴らしたギターと唸る5Wアンプと涙さえも掻き消すノイズで。もうだめだ。好きでたまらない。そしてその後は私が一番好きな『Mayday』だ。もうどうにでもしてくれ。このバンドに出会えて本当によかった。高速で『Luka』を鳴らして本編終了。
アンコールはもう正直あまり覚えていない。
高揚し切っていたのが『Hate』でさらに天井が抜けるみたいにもう一段駆け上がったのだけはなんとなく覚えている。
ギターはいつの間にかジャズマスターから SG へ、そしてまたいつの間にかブラストカルトへと持ち替えられていて、やっぱり私はブラストカルトの鳴りにどうにかなりそうなほど惹きつけられていた。
2時間半、あっという間だった。温泉に入っていたみたいだった。
Hue's のライブは、音が尖っていない。柔らかい、というのとも多分少し違って、突き刺さってくるのではなく、いつの間にかじわじわと包まれ、体の芯が温まってくる感じ。そう、温泉だ。そんなライブをするロックバンドって、あんまりいないと思う。
この32曲に及ぶワンマンライブを体験できたことは、私にとって本当に幸せなことで、かけがえのないものを受け取ることができた。
本当に、Hue's のみなさんありがとう。
また、東京でたくさんライブしてください。
あと、いつかフジロックに出てください。