2020年3月9日

■ 最近は曲を作ったり、タナソーの Podcast を聴いたりしていた。山崎さんがゲストの回のやつ。タナソーの、エモいのは嫌いだし危険だという話が面白かった。ほんとそうだよな、最適化されたもの、再生産されたものに感動してちゃいけないんだよなって思ったし、だから分析とか批評って大事なんだよなって思った。そういうの毛嫌いする人もいっぱいいると思うけど、私は大事だと思いますね。そんで、今もう一回、徹底的に冷静になった方がいいかもって思った。自分が心を動かされたときに、それがなにか良からぬものによってではないだろうかっていうのを検証してみたり。で、山崎さんが言ってたように、本物ってそこすらも突き破ってくるんだよね。滅多にないけどね。5年に一度とか、10年に一度はあるんだよね。

■ そんなことを考えていたときに聴いた Tempalay の「大東京万博」。これこそ、感情を押し付けるどころか、特定の感情になる以前の、混沌とした、名前をつけることも固定することもできない、グラデーションの何か。音楽を聴いてこんな心の状態になったことがないという、初めての何か。あと歌詞が凄すぎ。新しくて普遍的。令和のスタンダードになりそう。


■ 好きなバンドがライブの延期を発表した。いろいろな立場の人がいるし、いろんなことを思っている人がいるだろうから、簡単には言えないけど、私個人としては、よかったなあと思った。ほっとした。なんか、なんとしても決行しそうな雰囲気があったから少し意外ではあった。失礼な話だとは思うけど、意外と優しいんだなあって思った。延期の日までに事態がおさまっているかはわからないし、もし無事に開催されたとして、私が行ける状態にあるかはまだ分からないし、まだまだ不安な状態ではあるんだけど、それでもこれから先に何かの予定の日があるというだけでも、だいぶ気持ちが違いますね。だから「ありがとう」って思います。本人たちはきっとすごくつらいししんどいし疲れていると思うけど、それでも私から見ると、逆境をチャンスに変える階段を駆け上がっている様子はただただ輝いて見える。やりたいことのスタートラインにも立てなかった私には、やりたい分野で試練に立ち向かう姿が眩しい。やっぱり、私とは違う世界の、選ばれた人たちなんだなあと思う。だから、万物が好転すればいいなと思っている。もう解散してしまった STAn というバンドがいたんだけど、STAnの「タイガーアイ」という曲の「僕と君が正気を失わなければ森羅万象は好転するようにできている」という歌詞は今でもときどき思い出します。