ねむろ

「ねむろ」を聴くと、精神が落ち着きを取り戻せます。泣いているとき、「ねむろ」はそばにいてくれます。この曲の中には、たぶん妖精がいます。ギターのクリーンな音色は冬の水で、丁寧で繊細で力強いドラムはその上をはねる魚で、縦横無尽に動くベースは水面をなでる風で、歌声は降り注ぐ暖かい光です。何も怖いことが起こらない世界です。

村上春樹の『走ることについて語るときに僕の語ること』の中に、「正気を失った人間の抱く幻想ほど美しいものは、現実世界のどこにも存在しない。」という一文があります。私がこの曲を聴いているときもそうなのかもしれません。

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