MY BEST ALBUMS OF 2023

今年の10枚です。順不同です。

□「Camera Obscura」People In The Box
□「PILGRIM」LOSTAGE
□「luminous」ART-SCHOOL
□「石のような自由」家主
□「Bilk」Bilk
□「This Stupid World」Yo La Tengo
□「HOLLOWGALLOW」dip
□「感覚は道標」くるり
□「Hadsel」Beirut
□「花降る空に不滅の歌を」a flood of circle

2023年11月30日

11月に聴いていた音楽です。

□「It's Never Been Better」THE GOA EXPRESS
□「SleepInside」SleepInside
□「君に届かないメッセージ」小山田壮平
□「聖なる交差点」神聖かまってちゃん



2023年10月31日

10月に聴いていた音楽です。

□「Dial Tone」Wild Nothing
□「Sometimes, I Swear」The Vaccines
□「感覚は道標」くるり
□「Rainfold」rega
□「すてきなゆめを」PROM



KINOSHITA NIGHT 2023

KINOSHITA NIGHT 2023
2023年10月15日(日)@ Zepp DiverCity Tokyo

木下理樹の45歳生誕祭として開催された「KINOSHITA NIGHT 2023」に、
ART-SCHOOLsyrup16gPOLYSICS という UKP所属の同世代激濃厚バンドが大集結。2000年代初頭からこの3バンドを聴いていた世代にとっては、2023年にこの対バンを目撃できるなんて、奇跡の夜。チケット取れてマジでよかったぜ。

トップバッターは、POLYSICS !!!!!!!!!!!

セットリスト
1 Birthday(The Beatles
2 Let’s ダバダバ
3 Young OH! OH!
4 Funny Attitude
5 Stop Boom
6 MAD MAC
シーラカンス イズ アンドロイド
SUN ELECTRIC
9 UGRE ON!!
10 カジャカジャグー

1曲目、Beatles の『Birthday』で「理樹のバースデー」と歌い、祝福と共にイベントは幕を開けた。
2曲目で早速『Let’s ダバダバ』!楽しすぎる!『Young OH! OH!』のギターソロもかっこいい!
シーラカンス イズ アンドロイド』を聴いているときは、モーサムの『TRIGGER HAPPY』とか、あの辺のあの頃の空気感をなんとなく思い出した。

MCもめちゃくちゃ楽しくて、
「この3組だと ポリは浮いて見えるかもしれないけど、実は昔から結構親交がある。2000年代初頭は対バンしてたし、キタダさんと(ハヤシさんは)ポリの前にバンド組んでたこともある。」とか、「理樹とは同い年で、オルタナティブなことをやってるところが共通してる」とか、「木下理樹に初めて会ったとき、『ライブよかったよ!JOY DIVISION 好きでしょ!』と話しかけたら『あ~~~~~~~~(めっちゃためて)好きだねえ』って言われて、でもその後全然盛り上がらず会話もなかった。なんだこいつ、って思ったけど、次の対バンのときまた話しかけたらなぜか盛り上がって肩組んでホテルまで帰った」とか、フミさんは「木下理樹が財布落としたとき、『大丈夫?お金貸そうか?』って聞いたけど、理樹の鞄の中の小銭をかき集めたら6000円もあったから貸さなくてすんだ」とか。

で、楽しい雰囲気のまま曲に突入すると、終始バキバキのかっこよすぎる演奏で、ライブって本当にいいものだなと思わされた。あと、とにかくフミさんのベースがかっこよかった。
ラスト『カジャカジャグー』(思い出の2003年リリース)で、めちゃくちゃ楽しい最高潮の気分の中で、POLYSICS のライブはあっという間に終わってしまった。


二番手は、syrup16g !!!!!!!!!!!!!!

セットリスト
1 新曲
2 新曲
3 新曲
4 新曲
5 神のカルマ
6 生活
7 天才
8 落堕

1曲目、これは知らないイントロだ、、、
既存曲の違うアレンジなのか??? いや、新曲だ・・・!!!
2曲目、これも知らないイントロだ、、、
既存曲の違うアレンジなのか??? いや、新曲だ・・・!!!

やばい、これは、シロップの新曲祭りだ!!!
ライブでいきなり誰も知らない新曲を何も言わずに連発するやつだ!!!
シロップが2005年頃によくやっていたアレである。あのときのことを思い出す。なんとかメロディーと歌詞を覚えて帰ろうとした、あのときのことを。それを2023年にまた体験できるとは、、、感無量だ。
五十嵐が「全部新曲やりまーす。嘘、あと2曲やります」と言う。
あと2曲も新曲あるんか!!!すごいぞ五十嵐!!!
3曲目の新曲は、ベースがかっこよかったのと、「子供部屋おじさん」っていう歌詞が印象に残っている。
4曲目の新曲は、なんかちょっとだけアートスクールっぽさを感じた。「つまらない君が好きだった」「だらしない君が好きだった」「開き直る君が好きだった」「金がない君が好きだった」「妬まれる君が好きだった」と、同じメロディーを繰り返すのが印象的。
あと、どの曲か忘れたが、「遊んで暮らすために働いている」「半年で本性バレる」という歌詞もあった気がする。

その後は、『神のカルマ』→『生活』→『天才』→『落堕』というぶち上げ曲連発。木下理樹の誕生日だというのに、しっとりした曲は一切なしで、MCもなしに激強曲を叩きつける、、、と思ったらラストの『落堕』で曲に乗せて「木下理樹誕生日おめでとう!!!」と五十嵐が叫んだ。
なんだその粋な祝い方!!!惚れてまうやろ!!!私が木下理樹だったらもうシロップにメロメロだ!!!

3人の演奏は、対バンイベントでワンマンより短い時間だからか、いつもに増してバキバキで、なんか不思議と POLYSICS との同世代感というか共通項を見た気がした。



そしてトリは、ART-SCHOOL !!!!!!!!!!!!!

セットリスト
1 Moonrise Kingdom
2 アイリス
3 EVIL
4 foolish
5 クロエ
6 プール
7 サッドマシーン
8 Just Kids
9 ロリータ キルズ ミー
10 FADE TO BLACK
11 Bug

アンコール
12 スカーレット
13 ニーナの為に

久しぶりに見た ART-SCHOOL、びっくりした。轟音シューゲイザーバンドやん。この日は転換でずっと My Bloody Valentine がかかってたんだけど、まさか ART-SCHOOL がここまでマイブラかってぐらいのシューゲイザーになっているとは思わず、本当に驚いた。笑っちゃうぐらいの迫力で、やっぱり藤田勇のドラムと中尾憲太郎のベースが合体するとここまで凄いことになるんか、というのを目の当たりにした。

始まりは『Moonrise Kingdom』で、この曲の「エーテルを感じたんだ」っていう歌詞に私はずっと「?」って感じだったんだけど、この日のライブでその意味が完全に分かった。なんてことはない、シューゲイザーを聴いているときに感じる、今この瞬間だけが拡大されて宇宙まで届きそうになる、あの感覚のことだったのだ。

そんで『EVIL』でもう一気にぶち上がり。だってこれ、初めて上京してきた2003年の春に4曲入りのシングルでリリースされたやつで、私の東京生活の始まりの曲だったのだ。いや、まさか、それが今日この迫力で聴けるとはね。めちゃくちゃかっこよくて、安心したし、私の中の ART-SCHOOL が更新された。

そこからも思い入れのある曲ばかりで、ずっと夢中で聴いていた。
夕陽ポプラテニスコートで何かが振り切れてしまうなんて当然だろ、ART-SCHOOL好きなら。
『プール』が聴けたのも、ほんとにうれしかったなあ。
最新の『Just Kids』や『Bug』が、2000年代初頭の曲の中に挟まっても違和感がなかったのも良かった。

木下理樹は、何度も POLYSICSsyrup16g と 今日来てくれた人に感謝を述べていた。
それから、「ライブが始まる前に syrup16g の楽屋に行って、五十嵐さんに『今日何やるんですか?』って聞いてセットリスト見せてもらったら、俺シロップすごい好きだから曲全部知ってるはずなのに、知らない曲が並んでて、『え?』って思ってたら、五十嵐さんが『新曲だよ。誕生日プレゼント』って」と言っていて、「なんそれ!!!惚れてまうやろ!!!」って再びなりました。考え得る限りこの世で最高の誕生日プレゼントだね。木下さん、本当におめでとう!!!

ギターの戸高さんは、「恥ずかしながら久しぶりにシロップのライブを拝見したんですけど、いきなり新曲で、すごいヒリヒリしてて、、、飴と鞭がすごい。シロップのお客さんはどういう気持ちなんだろう。シロップレベルになると、こういうプレイなんですね」みたいなことを言っていて、そうですね、こちとら6年間放置プレイとかありましたからね、、、って思いました。あと、戸高さんが「アートに入った時に初めて買ったエフェクター持って来ました」と言って『スカーレット』が始まったのも感慨深かった。

ラストは『ニーナの為に』で歓喜。ええ曲や。。。
昔の ART-SCHOOL はライブに波があったから、今回もそんなに期待してなかったんだけど、本当にいいライブだった。

木下さん、誕生日おめでとうでした!!!いつまでもお元気で!!!



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UNDER THE COUNTER ONEMAN LIVE 「 Hello, Today 」

2023年10月7日、渋谷LUSHで開催された UNDER THE COUNTER の ワンマンライブ 「Hello, Today」 に行ってきた。

2013年に解散した UNDER THE COUNTER の、10年ぶりの一夜限りのライブ。(オリジナルメンバーでのライブは13年ぶり)。発表されたときは、なんだか信じられない気持ちだったが、すぐに、これはなんとしても行かなければいけないやつだ、と思った。

当日、ライブハウスに入ると既に人がいっぱいだった。わりと後ろの方だったので、ステージはあまり見えなかった。

でも、ライブがはじまると、そんなことはどうでもよくなるくらい最高の気分になった。10年ぶりとは思えない強靭な演奏、クリーンなギターと疾走するリズム隊の見事なアンサンブル、関谷謙太郎のあの声、あの眼。あの日のままの UNDER THE COUNTER がそこにいた。

『pepe』で幕を開けたそのライブは、これまで UNDER THE COUNTER が私に与えてくれたものを再確認していくような、そんなライブだった。
特に、3曲目の『モダンライフ』で思わず涙が溢れたときには、このバンドが自分にとってどれだけかけがえのないバンドだったかということを、完全に思い出した。

< 訳もなく街へ出た 欲しいものもないのに
 あてもなく歩くだろう 満たされやしないのに >

< 何となく頷いた 傷つくことないように
  それとなく笑うだろう 笑いたくもないのに >(『モダンライフ』)

この曲に今でも涙が溢れてしまうのは、UNDER THE COUNTER が、生活の中にへばりついたやるせなさとそれに振り回される一人の人間のリアルを、ずっと歌ってきたからなのだろう。不思議なことに、2005年のリリースから18年経った今でも、この曲の中に出てくるやるせなさは、今の私のやるせなさと同じだった。まあ、名曲というのは、そういうものなんだろう。

『sohappy, unhappy』を聴いているときにも、「ああ、これだから UNDER THE COUNTER が大好きだったんだよなあ」とつくづく思わされた。

< ソウハピーです 誰にだって僕はなれるから
  アンハピーです 同じように誰にだってなれやしない >

< ソウハピーです 何処へだって僕は行けるから
  アンハピーです 同じよう何処へだって行けやしない >
(『sohappy, unhappy』)

私たちの生活や感情は一筋縄ではいかない。いつだって「sohappy」と「unhappy」の間で、その両極に数秒ごとに揺れてしまう。その、ただ毎日を生きていくことの難しさ。誰にでもなれるようで誰にもなれない、何処にでも行けそうで何処にも行けない、成功者の結果論を読んだところでどうにもならない、人生の困難さ。そう、それこそが、音楽にするしかない、ロックバンドが鳴らすしかないものなのだ。

ベースの大隅さんがどうしてもセットリストに入れたかったという『ノー・セラピー』も、そんなロックバンド・UNDER THE COUNTER のかっこよさが詰まっている曲だと、改めて感じた。

< I can’t get no therapy
I can’t get no therapy
明日はただの今日のつづきさ
 出口はあるの? このスパイラル >(『ノー・セラピー』)

つらいことはあって、だけど治療法はなく続いていく生活と人生のしんどさ。UNDER THE COUNTER は、その中でただただ心が揺れる様を、右往左往する様を歌う。

< 退屈凌ぎにガムを噛む
  味なくなったらすぐに吐く 
  それ踏んじまって 
  へばりついちゃって
  あたまにきてまたガムを噛む >

< やることないので煙草吸う
  短くなったらすぐに消す
  空気汚れて 
  外へ出たけど 
  所在がないので煙草吸う >(『ノー・セラピー』)

そこには分かりやすい救いだとか簡単に手に入る希望だとか確実な治療法だとか、そんなものはない。ただ、なんとも言えないスパイラルの中でうろうろする、やたらリアルな人間の姿があるだけだ。
だけど、それこそが私にとっては、とても誠実でかっこいいことに見えた。こんなロックバンドが今ここにいてくれるのって最高だって、やっぱりこの日も思ったのだった。

また、UNDER THE COUNTER は、疾走感のある曲もいいけど、『賛美歌』や『Teenage Wasteland』のような聴かせる曲も最高だ。
『賛美歌』の <手を合わせ祈っても神様は僕の中/ひざついて誓っても神様はキミの中 > というフレーズは、あの頃よりも今の時代に聴いてこそ深く沁みるし、「青春とは何だったのか」と言う関谷さんのMCからの『 Teenage Wasteland 』には、40歳の UNDER THE COUNTER の青春を感じて胸が熱くなった。

アンコールの最後の曲は、『Hello, Today』だった。
この日のライブのタイトルであり、私が UNDER THE COUNTER に出会った最初の曲であり、今でもやっぱり一番好きな曲である『Hello, Today』。
救いも希望も治療法もない、一筋縄ではいかない、昨日の同じような今日が続く生活の中で、それでも薄暗い部屋で、煙草の煙の中、フラフラ立ち上がり、今日に力なく「ハロー」と告げる。それは、完全に、私のすべてに寄り添ってくれるロックだった。NIRVANA は < Hello, hello, hello, how low > と歌ったが、UNDER THE COUNTER は < Hello, Today > 歌ったのだ。
この日の『Hello, Today』も、それはそれは凄まじく、無気力と気怠さを蹴飛ばし、心に火をつける、そんな不思議な力に満ちていた。
この曲の1分30秒を超える最高のアウトロが鳴っている間、ああライブが終わってほしくない、UNDER THE COUNTER が終わってほしくない、ずっと続いてほしい、と願っていた。

アンコールが終わって、客電が点いても鳴りやまない拍手。
関谷さんが出てきて、「もうやれる曲がほんとにないの」と言うが、その後メンバー全員出てきてくれて、「今日やった曲の中からでよければもう1曲やる」と言ってくれて、『モダンライフ』が再び演奏された。客席のものすごい盛り上がり。私も拳上げまくり、ジャンプしまくった。

< いつからか僕たちは不確かに生きのびて
  どこからか呼ぶ声がしたようで立ち止まる
  耳をすましてみれば > (『モダンライフ』)

この『モダンライフ』の最後のフレーズが、今回メンバーにライブをやろうと声をかけた大隅さん、ずっと UNDER THE COUNTER を聴いて心のどこかで待っていたファン、生きのびてこの日ここに足を運んだ人、そして見事に復活した UNDER THE COUNTER、そのすべてのことを予言していたかのように聴こえた。

それから、この日、印象的だったのは、激しい演奏とはうってかわって、和やかで楽しそうな曲間のMCの雰囲気だった。関谷さんが何度も「こんなに集まってくれてありがとう。ずっと好きでいてくれてありがとう」と言ってくれたのも、すごくうれしかった。

ライブが終わってからも、ずっと UNDER THE COUNTER を聴いている。
こんなに名曲だらけの、かっこいいロックバンドが、一夜だけしかライブをやらないなんて、もったいないなあと思う。これからも、もっと見たいのになあ、と思ってしまう。
でも、< 僕らは曖昧で思いがけない日々を生きてる >(『GREAT GREEN』)から、いつかまた会える日が来るんじゃないかと思っている。

とりあえず今は、こんなに素敵な夜をくれてありがとうと、UNDER THE COUNTER に伝えたい。
ずっと大好きだ。