はしゃいだ日と落ち込んだ日

久しぶりにバンドらしいバンドを好きになったので、「あー、バンドにハマるってこういう感じだったなー」っていうのを10年ぶりくらいに追体験しているようなここ数日なのだが、ほんの数日で世界が変わる感じで、なんだかものすごいスピードで気持ちが振り回されている。

買ったCDを聴きまくってはしゃいで、MVを見てはしゃいで、ツイキャスを見てはしゃいで、雑誌を読み返してはしゃいで、ライブスケジュールを見てもしかしてこれは行けそうなのではないかとか計画してみたりしてはしゃいで、と、はしゃぎまくっていたのだが、数日後、急に落ち込みが来た。

「ああ、このバンドはきっとあっという間に、1年後とかにはすごいことになっているんだろうな。大きい会場でやるようになって、有名になって、成功を手にするんだろうな。」って思ったんだけど、勢いのあるバンドを見たときはいつもそう思うもので、私はそのことについて悲観的になったことは今まで一度もなかった。だって、好きなバンドが成功していくのって見ていて楽しいしワクワクするから。むしろ、すごいバンドなのに思ったほど売れないとめちゃくちゃイライラしたものだ。シロップとかモーサムとか、もっと爆発的に売れてくれよ、なんでみんな聴かないんだよ、といつもイライラしていたくらいだ。

でも今回は、「このバンドはあっという間に成功する」と思ったときに、「私はそのときに何にもないのにな」と思って落ち込んでしまった。私はアートスクールの「あと10秒で」ばりに、これまで「何もねえ」人間で、この先も「何もねえ」人間で、でも、これまではそのことについて仕方がないことだと思っていた。そんなの、どうにかなる問題じゃないし、どうしようもないことだし、それとバンドの成功とか他人の成功とかを結びつけて考えたことなんか一度もなかった。だって素晴らしいバンドや素晴らしい人が成功するのを見て嬉しいのと、私が何もないことは何の関係もないことだし、むしろ自分に何もないからこそ、才能のある人が成功していくのを見るのはエンターテインメントとして楽しかった。

だから、自分がなんでこんなに落ち込むのか分からなくて、でも気分がどんどんダウナーになってしまって、そんな自分にうろたえた。なんで、このバンドにだけは、自分のことを結びつけてしまうんだろう。その理由が自分でも全然分からない。

ここ数日はなんだかそんな浮き沈みの激しい日々だった。そんな中、たまたまやっていた神聖かまってちゃんライブ配信を見たら、なんだかとてもホッとした。神聖かまってちゃんは同世代だし、今や私にとっては見ていると安心する存在だ。あのバンドは刺激が強すぎるのかもしれない。でももう抜け出せないと思う。